『斎藤正彦 線型代数学』 書籍紹介とレビュー
『斎藤正彦 線型代数学』 書籍紹介とレビュー
線型代数の基礎をしっかり学びたい人に最適なロングセラー、斎藤正彦先生の『線型代数学(2014)』について詳しく紹介します。

書籍情報
- タイトル:『線型代数学』
- 著者:齋藤 正彦
- 出版社:東京図書
- 初版発行:2014/4/1
大学数学教育における定番中の定番の斎藤正彦先生による線型代数の教科書です。平面および空間のベクトル、行列と行列式、線型空間、固有値と固有ベクトルなどを扱い、線型代数の基本技術を体系的に学ぶことができます
レビュー
斎藤正彦先生の『線型代数学』です。大学1年生向けに書かれたということで、構成もわかりやすく、初学者の私にとってはとてもありがたい一冊でした。
冒頭では、複素数や3次元ベクトルといった、高校で習ったけれど曖昧なままだった内容を丁寧に復習できるようになっていて、「そういうことだったのか!」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。第2章からは本格的な行列の話に入り、第3章で行列式、第4章以降は固有値や線形写像などへと進んでいきますが、説明が親切なので、無理なく読み進めることができました。
特に印象に残っているのは、ジョルダン標準形に関する章です。多くの教科書では難解に感じる部分ですが、この本では直感的に理解できるよう工夫されていて、最後まで投げ出さずに読み切ることができました。数学的な厳密さは保ちつつも、言葉遣いやたとえ話がとても柔らかく、独学でも心が折れにくいと思います。
章末や節末の問題も適度な分量で、復習しながら進められる点も良かったです。解答も丁寧なので、間違えた時にどこでつまずいたのかを自分でしっかり確認できます。個人的には、数学の教科書にありがちな「読みにくさ」が少なく、読み物としても楽しめました。
強いて言えば、証明の一部にさらっと流されている印象の箇所もありましたが、それでも全体としては非常に質の高い教科書だと思います。ソフトカバーなので持ち運びしやすく、カフェや図書館で読むのにも向いています。
線形代数をこれから学ぶ人にも、もう一度ちゃんと学び直したい人にも、自信を持っておすすめできる一冊です。私はこの本を読んで、数学が少し好きになりました。