合成関数の偏微分における連鎖律を徹底解説

合成関数の偏微分における連鎖律を徹底解説

数学における合成関数の偏微分は、複数の変数に依存する関数を微分する際に非常に重要な役割を果たします。この解説では、合成関数の偏微分における連鎖律について詳しく説明し、具体的な例を通じてその理解を深めます。

目次

連鎖律の基本概念

連鎖律(Chain Rule)は、複数の関数が合成された関数を微分する際に用いられる基本的な法則です。合成関数を微分する場合、その微分は個々の関数の微分を組み合わせることで求められます。

連鎖律は以下のように表現されます。

もし、関数 \( f(x) \) が \( g(h(x)) \) の形で合成されているとき、すなわち、\( f(x) = g(h(x)) \) であれば、連鎖律により次のように微分されます:

\[ \frac{d}{dx} f(x) = \frac{d}{dh(x)} g(h(x)) \cdot \frac{d}{dx} h(x) \]

ここで、\( g \) は外の関数、\( h \) は内の関数です。この式は、外の関数の微分に内の関数の微分を掛け合わせることで、合成関数の微分が得られることを示しています。

合成関数の偏微分

合成関数の偏微分では、連鎖律を利用して多変数関数を微分します。例えば、二変数関数 \( f(x, y) \) が別の関数 \( g(x, y) \) と \( h(x, y) \) の合成である場合、偏微分を計算する際に連鎖律を適用します。

もし \( f(x, y) = g(h(x, y)) \) であれば、次のように偏微分が求められます:

\[ \frac{\partial f}{\partial x} = \frac{\partial g}{\partial h} \cdot \frac{\partial h}{\partial x} \] \[ \frac{\partial f}{\partial y} = \frac{\partial g}{\partial h} \cdot \frac{\partial h}{\partial y} \]

これにより、合成関数の偏微分を個々の関数の偏微分を使って計算することができます。

連鎖律の適用例

実際の計算例を見てみましょう。以下の関数を考えます:

\[ f(x, y) = \sin(x^2 + y^2) \]

この関数は、内外の関数の合成です。まず内の関数は \( h(x, y) = x^2 + y^2 \) であり、外の関数は \( g(h) = \sin(h) \) です。

この合成関数の偏微分を計算するために、連鎖律を適用します:

\[ \frac{\partial f}{\partial x} = \cos(x^2 + y^2) \cdot \frac{\partial (x^2 + y^2)}{\partial x} = \cos(x^2 + y^2) \cdot 2x \] \[ \frac{\partial f}{\partial y} = \cos(x^2 + y^2) \cdot \frac{\partial (x^2 + y^2)}{\partial y} = \cos(x^2 + y^2) \cdot 2y \]

このように、連鎖律を使って合成関数の偏微分を簡単に求めることができます。

多変数における連鎖律

多変数関数の場合、連鎖律はさらに複雑になりますが、基本的な考え方は同じです。たとえば、次のような関数を考えます:

\[ f(x, y, z) = \sin(x^2 + y^2 + z^2) \]

この場合も、内外の関数を分けて考えます。内の関数は \( h(x, y, z) = x^2 + y^2 + z^2 \)、外の関数は \( g(h) = \sin(h) \) です。これを偏微分すると:

\[ \frac{\partial f}{\partial x} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot \frac{\partial (x^2 + y^2 + z^2)}{\partial x} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot 2x \] \[ \frac{\partial f}{\partial y} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot \frac{\partial (x^2 + y^2 + z^2)}{\partial y} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot 2y \] \[ \frac{\partial f}{\partial z} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot \frac{\partial (x^2 + y^2 + z^2)}{\partial z} = \cos(x^2 + y^2 + z^2) \cdot 2z \]

このように、多変数関数でも連鎖律を使って偏微分を計算することができます。

まとめ

連鎖律は合成関数を微分する際の基本的なツールであり、偏微分にも応用できます。合成関数を構成する外の関数と内の関数を適切に区別し、それぞれの微分を掛け合わせることで、複雑な偏微分を簡単に計算することができます。多変数関数でも同様に適用できるため、数学や解析学において非常に重要な役割を果たします。

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