Symbol.for(key)の解説

Symbol.for(key) は、グローバルなシンボルレジストリを利用してシンボルを作成または取得するためのメソッドです。 シンボルは通常一意ですが、Symbol.forを使用すると、同じキーに基づいて共有されたシンボルを取得できます。 これにより、異なるスコープやモジュール間で同じシンボルを再利用できます。

基本的な動作

Symbol.for(key) を使うと、以下の操作が行われます:

1. 指定されたキーがグローバルシンボルレジストリに存在する場合、そのシンボルを返します。
2. 存在しない場合、新しいシンボルを作成し、グローバルシンボルレジストリに登録してから返します。

例

// 同じキーを使うと同一のシンボルが取得される
const sym1 = Symbol.for('shared');
const sym2 = Symbol.for('shared');
console.log(sym1 === sym2); // true

// 異なるキーなら別のシンボルが作成される
const sym3 = Symbol.for('unique');
console.log(sym1 === sym3); // false
    

Symbol.keyFor(sym)の解説

Symbol.keyFor(sym) は、Symbol.forで作成されたシンボルに関連付けられたキーを取得するためのメソッドです。 通常のシンボル（Symbol()で生成されたもの）では使えず、グローバルシンボルレジストリのシンボルにのみ適用されます。

基本的な動作

Symbol.keyFor を使用すると、以下が行われます:

• 指定したシンボルがグローバルシンボルレジストリに存在する場合、そのキーを文字列として返します。
• 存在しない場合、undefined を返します。

例

// Symbol.forで作成されたシンボル
const sym1 = Symbol.for('shared');
console.log(Symbol.keyFor(sym1)); // 'shared'

// 通常のSymbolではundefined
const sym2 = Symbol('local');
console.log(Symbol.keyFor(sym2)); // undefined
    

注意点

Symbol.keyForは、通常のシンボルではキーを取得できないため、Symbol()とSymbol.for()の違いを理解することが重要です。

実用例と注意点

実用例: シンボルを用いた設定管理

グローバルなシンボルを使用すると、ライブラリやフレームワーク間で設定やメタデータを共有する際に便利です。

// 設定管理にSymbol.forを利用
const CONFIG_KEY = Symbol.for('app.config');
const globalConfig = {
    [CONFIG_KEY]: { debug: true, version: '1.0.0' }
};

// 別のモジュールでアクセス
console.log(globalConfig[Symbol.for('app.config')]); // { debug: true, version: '1.0.0' }
    

注意点: シンボルの使用時の衝突回避

Symbol.forを使用すると、キー名が重複する場合に予期せぬシンボル共有が発生する可能性があります。 キー名には固有で予測しづらい名前を使用することが推奨されます。

// 推奨: 名前空間を含めたキー名
const sym = Symbol.for('myApp.uniqueFeature');
    

まとめ: Symbol.forとSymbol.keyForは、グローバルシンボルレジストリを利用するための便利なメソッドです。 効果的に使うことで、モジュール間でのデータ共有や名前衝突の回避が可能になります。