EclipseはJava開発環境として広く使用されており、作成したJavaプログラムをJAR（Java ARchive）ファイルとしてエクスポートする機能を提供しています。JARファイルは複数のクラスファイルやリソースファイルを1つにまとめた圧縮ファイルで、配布や実行が容易になります。ここではEclipseでJARファイルを作成する手順について詳しく解説します。

JARファイルとは何か？

JARファイルはJavaプログラムやライブラリをまとめた圧縮ファイルです。通常、複数の`.class`ファイルやリソースファイル（画像、テキスト、設定ファイルなど）が含まれています。JARファイルはJavaの標準ツールである`jar`コマンドやEclipseなどのIDEを使って作成できます。

JARファイルには以下の2種類があります：

• 実行可能JAR（Executable JAR）：`main`メソッドが含まれていて、ダブルクリックやコマンドラインで実行できます。
• ライブラリJAR：他のJavaプログラムで使用するためのライブラリとして提供されます。

EclipseでJARファイルを作成する手順

Javaプロジェクトの準備

まず、JARファイルにしたいJavaプロジェクトがEclipse上に存在することを確認します。以下は簡単なJavaプログラムの例です：

public class HelloWorld {
    public static void main(String[] args) {
        System.out.println("Hello, World!");
    }
}
    

このプログラムを含むプロジェクトを作成し、`src`フォルダ内に上記のクラスファイルがあることを確認してください。

JARファイルのエクスポート手順

次に、Eclipseを使ってJARファイルをエクスポートする手順を説明します。

1. プロジェクトを選択

   エクスプローラー（「Package Explorer」または「Project Explorer」）でJARファイルにしたいJavaプロジェクトを右クリックします。

2. エクスポートウィザードを開く

   右クリックメニューから「Export…」を選択します。

3. JARファイルのオプションを選択

   「Java」カテゴリーから「JAR file」を選択し、「Next」をクリックします。

4. エクスポートする内容を設定

   「Select the resources to export」欄で、JARファイルに含めたいファイルやフォルダにチェックを入れます。通常は、`src`フォルダ全体にチェックを入れます。

5. 出力先を指定

   「JAR file」欄で、出力するJARファイルの保存場所と名前を指定します。例：「C:\workspace\HelloWorld.jar」

6. エクスポートオプションを設定

   「Options」セクションで、以下の設定を確認・選択します：

   • 「Compress the contents of the JAR file」にチェックを入れると、JARファイルが圧縮されます。
   • 「Export generated class files and resources」にチェックを入れます。
   • 「Export all output folders」にもチェックを入れます。
7. Finishをクリック

   「Finish」ボタンをクリックすると、JARファイルが作成されます。

実行可能JARファイルを作成する方法

実行可能なJARファイルを作成する場合は、次の手順を追加で行います。

1. マニフェストファイルの設定

   「JAR File Specification」ウィンドウの「Select the class of the application entry point」欄で、`main`メソッドがあるクラスを指定します。例：「HelloWorld」

2. マニフェストファイルの自動生成

   「Generate the manifest file」オプションを選択し、「Save the manifest in the workspace」にチェックを入れます。

3. エクスポートの完了

   「Finish」をクリックしてJARファイルをエクスポートします。

作成したJARファイルの実行

コマンドラインから実行可能JARファイルを実行するには、次のコマンドを使用します：

java -jar HelloWorld.jar
    

成功すれば、次のように出力されます：

Hello, World!
    

エラーが発生した場合の対処法

エラー：Main-Classが見つからない

エラーメッセージ：`Error: Could not find or load main class`

原因：マニフェストファイルに`Main-Class`の設定が正しくされていない。

対処法：JARファイルを作成する際に、正しいエントリーポイントを指定してください。

エラー：ファイルが正しく圧縮されていない

原因：JARファイルの圧縮オプションが無効になっている。

対処法：「Compress the contents of the JAR file」にチェックを入れて再エクスポートしてください。

まとめ

Eclipseを使用すれば、簡単にJARファイルを作成し、配布や実行が可能です。特に実行可能JARファイルを作成すれば、Javaアプリケーションの配布が効率的になります。JARファイルの作成時には、エントリーポイントの設定やマニフェストファイルの作成に注意しましょう。