高校数学で学ぶ 約数の総和を求める公式とその応用|丁寧な例題解説つき

高校数学で学ぶ 約数の総和を求める公式とその応用|丁寧な例題解説つき

約数の総和とは?基本の理解

約数とは、ある整数を割り切ることができる整数のことです。例えば、12の約数は \[ 1, 2, 3, 4, 6, 12 \] です。この約数すべての合計を「約数の総和」と呼びます。12の場合、 \[ 1 + 2 + 3 + 4 + 6 + 12 = 28 \] となります。

約数の総和を計算することは、数学の様々な分野で役立ちます。特に数論や整数の性質を学ぶ際に重要です。単純にすべての約数を列挙して足し合わせる方法もありますが、大きな数では非効率です。そこで、公式を利用して効率よく求める方法を学びましょう。

約数の総和を求める公式の導出

約数の総和を効率よく求めるための公式は、数の素因数分解に基づいています。任意の正の整数 \(n\) を素因数分解すると、

\[ n = p_1^{a_1} p_2^{a_2} \cdots p_k^{a_k} \]

となります。ここで \(p_1, p_2, \dots, p_k\) は互いに異なる素数で、\(a_1, a_2, \dots, a_k\) はそれぞれの素数の指数です。

このとき、約数の総和は次のように計算できます。

\[ \sigma(n) = \prod_{i=1}^k \left(1 + p_i + p_i^2 + \cdots + p_i^{a_i}\right) \]

それぞれのカッコ内は等比数列の和であり、次の公式で計算できます。

\[ 1 + p_i + p_i^2 + \cdots + p_i^{a_i} = \frac{p_i^{a_i+1} – 1}{p_i – 1} \]

これを用いると、約数の総和は

\[ \sigma(n) = \prod_{i=1}^k \frac{p_i^{a_i+1} – 1}{p_i – 1} \]

となり、これが約数の総和を求める公式です。

基本の例題で公式を確認しよう

例題1:\(n=12\) の約数の総和を公式を使って求めましょう。

まず、12の素因数分解をします。

\[ 12 = 2^2 \times 3^1 \]

公式に当てはめると、

\[ \sigma(12) = \left(1 + 2 + 2^2\right) \times \left(1 + 3\right) = (1 + 2 + 4) \times (1 + 3) = 7 \times 4 = 28 \]

これは手で約数をすべて書き出して合計した結果と一致します。

応用例題:複雑な約数の総和の求め方

例題2:\(n=360\) の約数の総和を求めてみましょう。

まず360の素因数分解をします。

\[ 360 = 2^3 \times 3^2 \times 5^1 \]

それぞれの項の等比数列の和を求めます。

\[ 1 + 2 + 2^2 + 2^3 = 1 + 2 + 4 + 8 = 15 \] \[ 1 + 3 + 3^2 = 1 + 3 + 9 = 13 \] \[ 1 + 5 = 6 \]

公式に代入して、

\[ \sigma(360) = 15 \times 13 \times 6 = 1170 \]

よって360の約数の総和は1170です。

練習問題とその解説

以下の問題を解いてみましょう。解説も付けていますので理解を深めてください。

  1. \(n = 45\) の約数の総和を求めなさい。 ヒント:素因数分解は \(45 = 3^2 \times 5^1\) です。
  2. \(n = 100\) の約数の総和を求めなさい。 ヒント:素因数分解は \(100 = 2^2 \times 5^2\) です。
  3. \(n = 84\) の約数の総和を求めなさい。 ヒント:素因数分解は \(84 = 2^2 \times 3^1 \times 7^1\) です。

解説:

  • \(45 = 3^2 \times 5^1\) \[ \sigma(45) = (1 + 3 + 3^2) \times (1 + 5) = (1 + 3 + 9) \times 6 = 13 \times 6 = 78 \]
  • \(100 = 2^2 \times 5^2\) \[ \sigma(100) = (1 + 2 + 4) \times (1 + 5 + 25) = 7 \times 31 = 217 \]
  • \(84 = 2^2 \times 3^1 \times 7^1\) \[ \sigma(84) = (1 + 2 + 4) \times (1 + 3) \times (1 + 7) = 7 \times 4 \times 8 = 224 \]

これらの練習問題を通して、素因数分解をしっかり行い、公式を正しく使うことが大切だとわかるでしょう。問題に慣れてくると、手早く約数の総和を計算できるようになります。

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