ガウス記号の応用例題を徹底解説|高校数学で差がつく記号の理解
目次
ガウス記号とは?意味と定義
ガウス記号とは、ある実数を超えない最大の整数を表す記号で、床関数(floor function)とも呼ばれます。記号は \([x]\) または \(\lfloor x \rfloor\) のように表され、以下のように定義されます。
実数 \(x\) に対して、 \[ [x] = \text{最大の整数 } n \text{ ただし } n \leq x \]
たとえば、 \[ [3.8] = 3, \quad [-1.2] = -2, \quad [5] = 5 \]
基本的な性質と注意点
- \([x]\) は常に整数である。
- \([x] \leq x < [x]+1\) が常に成り立つ。
- 負の小数に注意。たとえば、\([-0.1] = -1\) であって、0ではない。
この性質を理解していないと、応用問題で間違えることが多いので注意しましょう。
典型的な例題とその解説
例題1:小数のガウス記号
次の値を求めよ。
- (1) \([3.7]\)
- (2) \([-2.3]\)
- (3) \([-5]\)
解答:
- (1) \([3.7] = 3\)
- (2) \([-2.3] = -3\)
- (3) \([-5] = -5\)
例題2:式の中のガウス記号
\([x] = 2\) を満たす実数 \(x\) の範囲を求めよ。
解答:
\([x] = 2\) の定義より、 \[ 2 \leq x < 3 \]
例題3:不等式にガウス記号が含まれる場合
\([x] < 0\) を満たす実数 \(x\) の範囲を求めよ。
解答:
\([x] < 0\) より、\([x]\) は負の整数。つまり、 \[ x < 0 \quad \text{かつ} \quad x \notin \mathbb{Z} \text{ とは限らない} \] \([x] = -1\) のとき、\(-1 \leq x < 0\)。\([x] = -2\) なら \(-2 \leq x < -1\)、… したがって、範囲は \[ x < 0 \] である。
応用問題と考え方
応用例題1:分数を含む式
次の式の値を求めよ。 \[ \left[ \frac{7}{3} \right] + \left[ \frac{5}{2} \right] \]
解答:
\[ \frac{7}{3} = 2.333\ldots \Rightarrow \left[ \frac{7}{3} \right] = 2 \] \[ \frac{5}{2} = 2.5 \Rightarrow \left[ \frac{5}{2} \right] = 2 \] \[ 2 + 2 = 4 \]
応用例題2:数列とガウス記号
数列 \(\{a_n\}\) を次で定義する: \[ a_n = [\sqrt{n}] \] このとき、\(a_n\) の値が変化するのはどんなときか。
解答:
\([ \sqrt{n} ]\) の値は、\(\sqrt{n}\) が整数のときに変わる。つまり、\(\sqrt{n}\) が \(k\) を超えて \(k+1\) に達したとき、値が変化する。 \[ k^2 \leq n < (k+1)^2 \Rightarrow a_n = k \] よって、\(n\) が \(k^2\) を超えて \((k+1)^2\) に到達するごとに値が変化する。
応用例題3:不等式の解集合
\[ \left[ \frac{x}{2} \right] = 3 \] を満たす \(x\) の範囲を求めよ。
解答:
\[ \left[ \frac{x}{2} \right] = 3 \Rightarrow 3 \leq \frac{x}{2} < 4 \] 両辺に 2 をかけて、 \[ 6 \leq x < 8 \]
まとめと学習のポイント
- ガウス記号は「その数を超えない最大の整数」を表す。
- 小数や負の数の扱いに特に注意する。
- 不等式との組み合わせ、数列での出現パターンを整理すると応用に強くなる。
- 「式の中にガウス記号が含まれている場合」は、範囲に分けて丁寧に処理するのがコツ。
ガウス記号はセンター試験や共通テスト、私立大の入試問題でもよく出題されます。定義の深い理解と豊富な例題演習が鍵です。