高校数学B|重複組合せの応用を徹底解説!

高校数学B|重複組合せの応用を徹底解説!

目次

重複組合せとは

重複組合せとは、「同じものを何回使ってもよい」という条件のもとで、異なる種類のものを選ぶ方法の数を数える考え方です。 これは通常の「組合せ(同じものは1回まで)」とは違い、繰り返しの選択が可能になります。

たとえば、3種類の果物(リンゴ・バナナ・ミカン)から、合計5個選ぶ場合に、同じ果物を何回選んでもよいとすると、それは重複組合せになります。

重複組合せの公式とその意味

重複組合せの公式は以下の通りです:

\[ \left(_nH_r\right) = \left(\binom{n + r – 1}{r}\right) \]
  • \( n \):種類の数(区別できるものの種類)
  • \( r \):選ぶ個数

「\( n \)種類のものから重複を許して\( r \)個選ぶ方法の数」は、「\( n + r – 1 \)個から\( r \)個を選ぶ組合せ」と等しくなります。 これは、以下の「仕切りの考え方」によって導かれます。

基本的な例題

例題1

3種類の飴(いちご味・レモン味・ぶどう味)から、合計4個を選ぶ方法の数を求めよ。ただし、同じ味の飴を何個選んでもよい。

これは「重複組合せ」の問題で、以下のように考えます。

  • \( n = 3 \)(種類)
  • \( r = 4 \)(選ぶ個数)
\[ \left(_3H_4\right) = \binom{3 + 4 – 1}{4} = \binom{6}{4} = 15 \]

例題2

4種類のアイス(バニラ・チョコ・抹茶・ストロベリー)から、5個のアイスを選ぶとき、何通りの選び方があるか。

\[ \left(_4H_5\right) = \binom{4 + 5 – 1}{5} = \binom{8}{5} = 56 \]

応用的な例題

例題3:制限付きの重複組合せ

5種類の鉛筆(A, B, C, D, E)から合計6本を選ぶ。ただし、鉛筆Aは最大2本までしか選べない。このときの選び方は何通りか。

このような制限付きの重複組合せは、場合分けで処理します。Aの選ぶ本数を0本, 1本, 2本に分けて、それぞれ残りの鉛筆で重複組合せを使って計算します。

  • Aを0本選ぶ:残りは4種類から6本選ぶ → \(\left(_4H_6\right) = \binom{9}{6} = 84\)
  • Aを1本選ぶ:残りは4種類から5本 → \(\left(_4H_5\right) = \binom{8}{5} = 56\)
  • Aを2本選ぶ:残りは4種類から4本 → \(\left(_4H_4\right) = \binom{7}{4} = 35\)
\[ 84 + 56 + 35 = 175 \text{通り} \]

例題4:数の和に関する応用

正の整数の解を求めよ: \[ x + y + z = 7 \] ただし、\( x, y, z \)は正の整数。

これは「正の整数の重複組合せ」として扱えます。まず、各変数を1以上にするため、変数変換をします。

  • \( x’ = x – 1 \)
  • \( y’ = y – 1 \)
  • \( z’ = z – 1 \)

よって、\( x’ + y’ + z’ = 4 \)(\( x’, y’, z’ \geq 0 \))となり、これは \[ \left(_3H_4\right) = \binom{6}{4} = 15 \] 通りとなります。

重複組合せの解法のコツ

  • 問題文に「同じものを何度でも選べる」「制限なし」などの表現がある場合は重複組合せの可能性を疑う。
  • 制限がある場合は「場合分け」が必要。
  • 正の整数の和の問題は、変数変換で「重複組合せ」に直せることが多い。
  • 「仕切り」の図を書いてイメージすると、公式の意味がつかみやすい。
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