高校数学で極める!二項係数の公式・例題・応用を徹底解説

高校数学で極める!二項係数の公式・例題・応用を徹底解説

目次

二項係数とは?

二項係数(にこうけいすう)とは、数学における「組み合わせの数」を表す記号です。次のように表されます。

\[ \binom{n}{r} \]

これは「\(n\) 個の中から \(r\) 個を選ぶ方法の数」を意味し、「\(n\) C \(r\)(エヌシーアール)」とも読みます。

たとえば、5人から2人を選ぶ方法の数は、

\[ \binom{5}{2} = 10 \]

二項係数の有名公式

二項係数には以下のような有名な公式があります。

1. 定義公式

\[ \binom{n}{r} = \frac{n!}{r!(n-r)!} \]

階乗記号「!」は、その数までの整数の積を意味します。たとえば、\(5! = 5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 120\) です。

2. 対称性の公式

\[ \binom{n}{r} = \binom{n}{n-r} \]

これは「選ばない」視点を使うことで理解できます。10人から3人を選ぶ方法は、10人から7人を選ばない方法と同じです。

3. パスカルの三角形(再帰関係)

\[ \binom{n}{r} = \binom{n-1}{r} + \binom{n-1}{r-1} \]

この公式は、パスカルの三角形の性質から得られます。隣接する2つの数を足して下の段の数になる構造です。

4. 二項定理

\[ (x + y)^n = \sum_{r=0}^{n} \binom{n}{r} x^{n-r} y^r \]

「二項定理」は、二項係数が代数的にも重要な意味を持つことを示しています。

例題で理解する二項係数

例題1:基本の計算

\(\binom{6}{2}\) を求めよ。

\[ \binom{6}{2} = \frac{6!}{2!(6-2)!} = \frac{720}{2 \times 24} = \frac{720}{48} = 15 \]

例題2:対称性の確認

\(\binom{8}{3}\) と \(\binom{8}{5}\) を比べてみましょう。

\[ \binom{8}{3} = \binom{8}{5} = 56 \]

実際に計算しても同じ値になることがわかります。

例題3:パスカルの三角形を使う

\(\binom{5}{2}\) を \(\binom{4}{2} + \binom{4}{1}\) で表すと?

\[ \binom{5}{2} = \binom{4}{2} + \binom{4}{1} = 6 + 4 = 10 \]

二項係数の応用問題

応用例1:確率の問題

サイコロを3回振って、ちょうど1回だけ「6」が出る確率を求める。

「6」が出るのは1回だけなので、位置を選ぶ方法が \(\binom{3}{1}\)。その上で、1回は「6」、他の2回は「1〜5」。

\[ \binom{3}{1} \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^1 \cdot \left( \frac{5}{6} \right)^2 = 3 \cdot \frac{1}{6} \cdot \frac{25}{36} = \frac{75}{216} \]

応用例2:数学的帰納法と二項係数

次の等式を数学的帰納法で証明せよ:

\[ \sum_{r=0}^{n} \binom{n}{r} = 2^n \]

【証明の概要】
– \(n = 1\) のとき: \(\binom{1}{0} + \binom{1}{1} = 1 + 1 = 2 = 2^1\)
– \(n = k\) のとき成り立つと仮定すると、\(n = k + 1\) のときもパスカルの三角形を用いて成り立つことを示せます。

応用例3:展開式の係数を求める

\((2x + 3)^5\) の中で、\(x^3\) の係数を求めよ。

\[ \binom{5}{3} \cdot (2x)^3 \cdot 3^2 = 10 \cdot 8x^3 \cdot 9 = 720x^3 \]

まとめ

  • 二項係数は「組み合わせの数」を表す基本記号で、確率・代数など幅広い分野で活躍します。
  • 定義・対称性・パスカルの三角形・二項定理という4つの公式が特に重要です。
  • 例題や応用を通じて、計算力と概念理解の両方を強化しましょう。
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