高校数学:一次不定方程式の整数解を徹底攻略!応用例題まで網羅
目次
一次不定方程式とは?
一次不定方程式とは、2つ以上の文字を含む一次方程式で、整数解(整数の組)が無数に存在する可能性がある方程式のことです。一般的な形は以下のようになります:
\[ ax + by = c \]ここで \( a, b, c \) は整数で、\( x, y \) を整数として解を求めます。このとき、特に「整数解」に絞って求めるのがポイントです。
整数解が存在する条件
方程式 \( ax + by = c \) に整数解が存在するためには、次の条件を満たす必要があります。
必要十分条件:
\[ \gcd(a, b) \mid c \] つまり、\( a \) と \( b \) の最大公約数が \( c \) を割り切ることが条件です。
例:
- \( 6x + 9y = 30 \):最大公約数 \( \gcd(6, 9) = 3 \)、\( 3 \mid 30 \) → 整数解あり。
- \( 6x + 9y = 31 \):\( 3 \nmid 31 \) → 整数解なし。
一般解の求め方(基本)
以下の手順で解を求めます。
- ユークリッドの互除法で \( \gcd(a, b) \) を求める。
- 拡張ユークリッドの互除法で、方程式 \( ax + by = \gcd(a, b) \) の一組の解 \( (x_0, y_0) \) を求める。
- \( c = d \cdot \gcd(a, b) \) と書いて、両辺を \( d \) 倍することで、\( ax + by = c \) の特解を得る。
- 一般解は次の形: \[ x = x_0 + \frac{b}{d}t, \quad y = y_0 – \frac{a}{d}t \quad (t \in \mathbb{Z}) \]
例題で学ぶ基本パターン
例題1:\( 6x + 9y = 30 \)
まず、\( \gcd(6, 9) = 3 \)、\( 3 \mid 30 \) より整数解が存在。
両辺を3で割ると: \[ 2x + 3y = 10 \]
拡張ユークリッドの互除法で、\( 2x + 3y = 1 \) の解は \( x = -1, y = 1 \)。両辺を10倍して:
\[ x = -10 + 3t, \quad y = 10 – 2t \quad (t \in \mathbb{Z}) \]例題2:\( 7x + 5y = 1 \)
\( \gcd(7, 5) = 1 \)、1はどんな整数も割り切るので常に整数解がある。
拡張ユークリッドの互除法で求めると、\( x = -2, y = 3 \) が一つの解。
したがって一般解は: \[ x = -2 + 5t, \quad y = 3 – 7t \quad (t \in \mathbb{Z}) \]
応用問題に挑戦
応用例1:範囲付き整数解
\( 14x + 21y = 35 \) のうち、\( x > 0, y < 0 \) を満たす整数解をすべて求めよ。
- \( \gcd(14, 21) = 7 \)、\( 7 \mid 35 \) → 解あり。
- \( \frac{14}{7}x + \frac{21}{7}y = 5 \Rightarrow 2x + 3y = 5 \)
- 1の特解:\( x = 4, y = -1 \)
- 一般解: \[ x = 4 + 3t, \quad y = -1 – 2t \]
条件 \( x > 0, y < 0 \) を満たす範囲を調べる:
\[ 4 + 3t > 0 \Rightarrow t > -\frac{4}{3} \Rightarrow t \geq -1 \] \[ -1 – 2t < 0 \Rightarrow -2t < 1 \Rightarrow t > -0.5 \Rightarrow t \geq 0 \]よって、\( t = 0, 1, 2, \dots \) のうち、両条件を満たすのは \( t = 0 \) のみ:
答え:\( x = 4, y = -1 \)
応用例2:最大値・最小値を含む問題
方程式 \( 8x + 5y = 1 \) の整数解の中で、\( x + y \) が最小となる解を求めよ。
一般解は(先に求めたとして): \[ x = 2 + 5t, \quad y = -3 – 8t \]
\[ x + y = (2 + 5t) + (-3 – 8t) = -1 – 3t \]
これを最小にするには、\( t \) を大きく取るとよい。制限がない場合、最小値は存在しない(発散)。ただし、何らかの制限があれば条件付きで最小値を決められる。
まとめとチェックポイント
- 一次不定方程式 \( ax + by = c \) の整数解の存在条件は \( \gcd(a, b) \mid c \)
- 拡張ユークリッドの互除法を用いて特解を求められる
- 一般解はパラメータ \( t \) を用いて表現する
- 応用問題では条件(範囲、最大・最小)に注意
整数問題は大学入試でも頻出分野です。パターンを理解して、どのような形の問題にも柔軟に対応できる力を身につけましょう!