【高校生向け】損益分岐点と操業停止点の違いと応用をわかりやすく徹底解説!
目次
1. 損益分岐点とは?
損益分岐点(Break-Even Point)とは、企業が利益も損失も出さずに「ちょうど損益がゼロになる売上高」のことを指します。
簡単にいえば、「赤字でも黒字でもないちょうどの点」です。
数式で表すと、損益分岐点売上高は以下のように表されます:
\[ \text{損益分岐点売上高} = \frac{\text{固定費}}{1 – \frac{\text{変動費}}{\text{売上高}}} \]ここでの用語の意味:
- 固定費:売上に関係なく毎月発生する費用(例:家賃、機械の減価償却など)
- 変動費:売上や生産量に応じて変わる費用(例:原材料費、パートの時給など)
2. 操業停止点とは?
操業停止点(Shutdown Point)とは、企業が一時的に生産活動を停止した方が損失が少なくなるような売上水準です。
つまり、「これ以上売上が下がるなら、もう操業をやめたほうがマシ」というギリギリのラインです。
操業停止点は以下のように定義されます:
\[ \text{操業停止点売上高} = \text{平均可変費} \times \text{生産量} \]もしくは、損失が固定費と同額になるときの売上高とも言えます。
3. 損益分岐点と操業停止点の違い
損益分岐点と操業停止点は似ているようで、大きく異なります。
| 項目 | 損益分岐点 | 操業停止点 |
|---|---|---|
| 定義 | 利益がゼロになる売上高 | 操業を続けるか停止するかの境界 |
| 固定費 | カバーされている | カバーされていない |
| 生産の可否 | 生産すべき | 停止すべき可能性がある |
損益分岐点より売上が低くても、変動費をカバーできていれば生産を続けた方が良いこともあります。操業停止点はそれすらできないときの判断基準です。
4. 例題で理解する
例題1:損益分岐点の計算
ある会社では、毎月の固定費が30万円、1個あたりの販売価格が2,000円、変動費が800円とします。
このときの損益分岐点の販売個数を求めます。
貢献利益率は:
\[ 1 – \frac{800}{2000} = 0.6 \]よって:
\[ \frac{300,000}{0.6} = 500,000 \text{円} \]1個あたり2,000円なので:
\[ \frac{500,000}{2,000} = 250 \text{個} \]損益分岐点は250個です。
例題2:操業停止点の計算
同じ会社で、固定費が30万円、1個あたりの販売価格が2,000円、変動費が1,800円だったとします。
平均可変費(変動費)は1,800円なので、これをカバーできる売上がないと赤字が増え続けます。
販売価格が2,000円でも、1個あたりの利益は200円です。
30万円の固定費を200円で割って:
\[ \frac{300,000}{200} = 1,500 \text{個} \]つまり、1,500個売れないなら操業を停止した方が損失が少なくなる可能性があります。
5. 応用と経済学的な視点
これらの概念は、単に計算問題にとどまらず、企業の意思決定にも深く関わります。
- 市場価格が大きく変動するような産業(例:農業やエネルギー業界)では、操業停止点が日々の判断材料になります。
- 新製品の導入判断、事業の継続可否の判断などでも損益分岐点分析が活用されます。
- 競争環境が激しい市場では、固定費をできる限り下げて、操業停止点と損益分岐点の距離を縮める戦略が取られます。
高校の経済分野や商業科では、これらの考え方をもとに経営分析や経済行動の理論を学ぶことができます。
数式の意味を理解し、現実の企業の意思決定にどう影響するかを考えることが、経済学を深く学ぶ第一歩になります。