【高校数学】相加相乗平均の不等式をマスターしよう!基礎から応用まで完全攻略

【高校数学】相加相乗平均の不等式をマスターしよう!基礎から応用まで完全攻略

目次

相加相乗平均の不等式とは?

相加相乗平均の不等式(AM-GM不等式)は、数学の中でも非常に重要で多くの問題に応用できる不等式です。 2つの非負実数 \( a, b \) に対して次の関係が成り立ちます。

\[ \frac{a + b}{2} \geq \sqrt{ab} \]

一般に、正の実数 \( a_1, a_2, \dots, a_n \) に対して、以下のように拡張されます:

\[ \frac{a_1 + a_2 + \cdots + a_n}{n} \geq \sqrt[n]{a_1 a_2 \cdots a_n} \]

左辺は「相加平均(Arithmetic Mean)」、右辺は「相乗平均(Geometric Mean)」と呼ばれます。

相加相乗平均の不等式の証明

2変数の場合の証明

2つの正の実数 \( a, b \) に対して、

\[ \left( \frac{a + b}{2} \right)^2 – ab = \frac{a^2 + 2ab + b^2}{4} – ab = \frac{(a – b)^2}{4} \geq 0 \]

よって、相加相乗平均の不等式が成り立ちます。

n変数の場合の証明(数学的帰納法のアイデア)

n = 2 で成立することは上で示しました。n = k のとき成り立つと仮定し、n = k + 1 の場合も成立することを示すことで証明が可能です。ここでは詳細な導出は省略せず、イメージだけでも理解しておくと良いでしょう。

基本的な例題

例題1

正の実数 \( a = 3, b = 12 \) のとき、相加相乗平均の不等式を確認せよ。

\[ \frac{3 + 12}{2} = \frac{15}{2} = 7.5 \] \[ \sqrt{3 \cdot 12} = \sqrt{36} = 6 \]

したがって、 \[ 7.5 \geq 6 \] であり、確かに成り立っています。

例題2

正の実数 \( x, y \) に対して \( x + y = 10 \) のとき、\( xy \) の最大値を求めよ。

\[ \frac{x + y}{2} \geq \sqrt{xy} \Rightarrow 5 \geq \sqrt{xy} \Rightarrow xy \leq 25 \]

よって、\( xy \) の最大値は 25 であり、それは \( x = y = 5 \) のときに達成されます。

応用問題にチャレンジ

応用問題1:3変数

正の実数 \( a, b, c \) に対して、次の不等式を証明せよ。 \[ \frac{a + b + c}{3} \geq \sqrt[3]{abc} \]

これは3変数版の相加相乗平均の不等式そのもので、同様に証明されます。等号が成立するのは \( a = b = c \) のときです。

応用問題2:最小値の活用

\( x > 0 \) に対して、次の式の最小値を求めよ: \[ f(x) = x + \frac{1}{x} \]

相加相乗平均の不等式より、 \[ \frac{x + \frac{1}{x}}{2} \geq \sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 1 \Rightarrow x + \frac{1}{x} \geq 2 \]

したがって最小値は 2、これは \( x = 1 \) のときに達成されます。

等号成立の条件

相加相乗平均の不等式で等号が成立するのは、すべての値が等しいときです。すなわち、

  • 2変数の場合: \( a = b \)
  • n変数の場合: \( a_1 = a_2 = \cdots = a_n \)

この等号条件は、最大・最小を考える際に非常に重要な役割を果たします。

まとめ

  • 相加相乗平均の不等式は、左辺が右辺以上になる基本的な不等式。
  • 証明は \( (a – b)^2 \geq 0 \) の利用や帰納法で行う。
  • 最大・最小の問題に応用できる。
  • 等号が成り立つのはすべての値が等しいとき。

この不等式は数学の様々な分野で応用されます。しっかりとマスターしておくことで、入試問題や発展問題にも強くなります!

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