高校数学で完全理解!ベクトルと成分で求める三角形の面積公式
目次
はじめに:なぜベクトルで面積が求まるのか?
ベクトルは、向きと大きさをもつ量であり、図形問題において非常に強力なツールです。特に平面図形において、三角形の面積は座標やベクトルを用いて簡潔に表現できます。
例えば、2点 \( A \) と \( B \) を結ぶベクトル \( \vec{AB} \) と、同じく \( A \) と \( C \) を結ぶベクトル \( \vec{AC} \) があるとき、三角形 \( ABC \) の面積はそれらのベクトルの外積に関係しています。
三角形の面積をベクトルで求める公式
2つのベクトル \( \vec{a} \) と \( \vec{b} \) によって張られる平行四辺形の面積は次の式で与えられます:
\[ S_{\text{平行四辺形}} = |\vec{a} \times \vec{b}| \]
したがって、三角形の面積はその半分ですから、
\[ S_{\triangle} = \frac{1}{2} |\vec{a} \times \vec{b}| \]
ここで、2次元ベクトルの場合の外積はスカラー値であり、以下のように定義されます:
\[ \vec{a} = (x_1, y_1), \quad \vec{b} = (x_2, y_2) \quad のとき \] \[ \vec{a} \times \vec{b} = x_1 y_2 – x_2 y_1 \]
したがって、ベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) による三角形の面積は
\[ S = \frac{1}{2} |x_1 y_2 – x_2 y_1| \]
成分表示による三角形の面積公式
ベクトルではなく、座標(成分)から直接求める方法もあります。点 \( A(x_1, y_1), B(x_2, y_2), C(x_3, y_3) \) を頂点とする三角形の面積は、次のように求められます:
\[ S = \frac{1}{2} |(x_2 – x_1)(y_3 – y_1) – (x_3 – x_1)(y_2 – y_1)| \]
これは、ベクトル \( \vec{AB} \) と \( \vec{AC} \) の外積に他なりません。
別のよく使われる公式も紹介しておきましょう:
\[ S = \frac{1}{2} |x_1(y_2 – y_3) + x_2(y_3 – y_1) + x_3(y_1 – y_2)| \]
この式は覚えにくいかもしれませんが、3点の座標が分かっていれば一発で面積を計算できます。
例題で理解を深めよう
例題1:座標を使って面積を求める
点 \( A(1, 2), B(4, 3), C(2, 7) \) のとき、三角形 \( ABC \) の面積を求めなさい。
まず、ベクトル \( \vec{AB} = (4-1, 3-2) = (3,1) \)、\( \vec{AC} = (2-1, 7-2) = (1,5) \)
外積の絶対値は:
\[ |\vec{AB} \times \vec{AC}| = |3 \cdot 5 – 1 \cdot 1| = |15 – 1| = 14 \]
よって、三角形の面積は
\[ S = \frac{1}{2} \cdot 14 = 7 \]
例題2:成分表示の公式を使う
同じ点 \( A(1, 2), B(4, 3), C(2, 7) \) で以下の式を使ってみましょう:
\[ S = \frac{1}{2} |(4 – 1)(7 – 2) – (2 – 1)(3 – 2)| \]
\[ = \frac{1}{2} |3 \cdot 5 – 1 \cdot 1| = \frac{1}{2} \cdot 14 = 7 \]
しっかり同じ答えが出ますね!
例題3:公式の使い分けに慣れよう
点 \( A(0, 0), B(2, 0), C(0, 3) \) のとき、三角形の面積は?
\[ S = \frac{1}{2} |(2 – 0)(3 – 0) – (0 – 0)(0 – 0)| = \frac{1}{2} \cdot 6 = 3 \]
直角三角形でも問題なく公式が使えることがわかります。
まとめと確認ポイント
- ベクトルの外積を使うと、三角形の面積を簡単に求められる
- 2次元では外積はスカラー(数値)になり、絶対値をとって1/2をかける
- 成分表示の公式も便利なので、座標が与えられたときにすぐ使えるようにしておこう
- いくつかの公式があるが、すべて本質的にはベクトルの外積に由来している
ベクトルの知識を使えば、三角形の面積だけでなく、平面上の様々な図形問題に応用できます。しっかり理解して得意分野にしていきましょう!