高校生のための経済学入門:効用関数と労働時間の求め方を徹底解説!

高校生のための経済学入門:効用関数と労働時間の求め方を徹底解説!

目次

はじめに:効用って何?

経済学では「効用(こうよう)」とは、ある人が商品やサービスを消費することによって得られる満足度のことです。例えば、アイスクリームを食べて「おいしい!うれしい!」と感じるのが効用です。

個人は、効用をできるだけ高めるように行動します。つまり「効用を最大化する」ように、働く時間やお金の使い方を考えるのです。

効用関数と労働の基本モデル

私たちが使う基本的なモデルでは、次の2つの選択肢が登場します:

  • 消費(C):働いて得たお金で買うモノやサービス
  • 余暇(L):働かずに自由に使える時間(遊ぶ、休むなど)

このとき、効用関数は次のような形で表されます:

$$ U(C, L) $$

つまり、効用は「消費」と「余暇」の2つで決まるということです。

時間の制約(タイムバジェット)

1日は24時間なので、労働時間(H)と余暇時間(L)は次のような関係になります:

$$ H + L = T $$

ここで、\( T = 24 \) とします。

所得の制約(予算制約)

労働によって得られる所得(Y)は、賃金(w)× 労働時間(H)で求められます。これを消費に使うとすると、

$$ C = wH = w(T – L) $$

つまり、消費は余暇を削って働いた時間で決まるというわけです。

効用最大化の数式と条件

個人は「消費 \( C \) と余暇 \( L \) の組み合わせ」を選んで、効用 \( U(C, L) \) を最大にしたいと考えます。ただし、予算制約(\( C = w(T – L) \))があるため、制約付き最大化問題になります。

ラグランジュ関数を使った求め方

次のようなラグランジュ関数を作ります:

$$ \mathcal{L}(C, L, \lambda) = U(C, L) + \lambda[w(T – L) – C] $$

ここで、λ はラグランジュ乗数と呼ばれます。

偏微分して、以下の条件を得ます:

  1. \( \frac{\partial U}{\partial C} – \lambda = 0 \)
  2. \( \frac{\partial U}{\partial L} + \lambda w = 0 \)
  3. \( w(T – L) – C = 0 \)

1と2より、

$$ \frac{\partial U/\partial L}{\partial U/\partial C} = -w $$

この比は限界代替率(MRS)と呼ばれ、余暇と消費を1単位交換したときの効用の変化を示します。

具体例:効用関数から労働時間を求める

例1:簡単な効用関数

次のような効用関数を考えます:

$$ U(C, L) = C^{0.5} \cdot L^{0.5} $$

賃金 \( w = 1000 \)、1日の総時間 \( T = 24 \) とします。

ステップ1:予算制約を代入

\( C = w(24 – L) = 1000(24 – L) \) を効用関数に代入します。

$$ U(L) = [1000(24 – L)]^{0.5} \cdot L^{0.5} $$

これは1変数の関数です。これを最大化するために微分して、最適な \( L \) を求めます。

ステップ2:効用最大化の条件を使う

限界代替率(MRS)を求めましょう。

この効用関数の偏微分は次の通りです:

  • \( \frac{\partial U}{\partial C} = 0.5 C^{-0.5} \cdot L^{0.5} \)
  • \( \frac{\partial U}{\partial L} = 0.5 C^{0.5} \cdot L^{-0.5} \)

したがって、

$$ \frac{\partial U/\partial L}{\partial U/\partial C} = \frac{C}{L} = w $$

この関係式から、

$$ \frac{C}{L} = 1000 \Rightarrow C = 1000L $$

これを予算制約に代入すると:

$$ 1000L = 1000(24 – L) $$

両辺を1000で割って:

$$ L = 24 – L \Rightarrow 2L = 24 \Rightarrow L = 12 $$

したがって、労働時間 \( H = 24 – L = 12 \) 時間です。

まとめと応用のヒント

  • 効用関数は人の「満足度」を数式で表したもの。
  • 人は消費と余暇のバランスを取りながら効用を最大化しようとする。
  • ラグランジュ関数や限界代替率(MRS)を使って、最適な労働時間を導ける。
  • 数式に苦手意識がある人も、例を使って順を追えば理解できる!

この考え方は、大学の経済学はもちろん、社会人になってからの「働き方」や「お金の使い方」にもつながる重要なテーマです。今のうちにしっかり身につけておきましょう!

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