【高校生向け】リスクプレミアムと期待効用をわかりやすく徹底解説!

【高校生向け】リスクプレミアムと期待効用をわかりやすく徹底解説!

このページでは、「リスクプレミアム」や「期待効用」といった経済学の重要な概念について、高校生にもわかるように丁寧に解説していきます。数学の知識も少し使いますが、できるだけ噛み砕いて説明します。

目次

1. リスクと不確実性とは?

まず最初に、「リスク」と「不確実性」の違いについて理解しましょう。

  • リスク(risk): 結果がいくつかあることがわかっていて、それぞれの確率もわかっている状態。
  • 不確実性(uncertainty): 結果はわかっているかもしれないが、その確率がわからない状態。

たとえば、サイコロを振って出た目によってお金がもらえるゲームは「リスク」のある状況です。1〜6の目が出る確率はすべて \( \frac{1}{6} \) だとわかっているからです。

2. 効用と期待効用とは?

経済学では、お金や財を手に入れることによって得られる「満足度」を「効用(utility)」と呼びます。人は効用を最大にするように行動すると仮定します。

効用は数式で書くこともできます。たとえば、お金 \( x \) に対する効用が \( u(x) \) と書けるとします。

そして、リスクのある状況では、効用の期待値、つまり「期待効用(expected utility)」を考えます。これは次のような数式で表されます:

\[ \text{期待効用} = \sum_{i} p_i \cdot u(x_i) \]

ここで、

  • \( x_i \):それぞれの結果(お金の額など)
  • \( p_i \):その結果になる確率
  • \( u(x_i) \):その結果の効用

つまり、「得られるかもしれない効用」の平均を考えるわけです。

3. 危険回避とその意味

多くの人は、同じ金額をもらえるなら「確実にもらえる方」が「賭けに勝ってもらえるより」好きです。これを危険回避的(リスク回避的)な行動といいます。

数学的には、効用関数 \( u(x) \) が凹型であれば、人はリスクを避ける傾向があります。たとえば次のような形です:

\[ u(x) = \sqrt{x} \quad \text{や} \quad u(x) = \log(x) \]

これは、100万円を持っている人にとって、さらに1万円増える効用はそれほど大きくないけれど、10万円しか持っていない人にとっては1万円の価値が大きく感じられる、という現象を表します。

4. リスクプレミアムとは?

さて、ここでリスクプレミアム(risk premium)の話に入ります。

リスクプレミアムとは、「リスクのある選択肢ではなく、確実な金額を選ぶ場合、どれくらい少ない金額なら満足できるか」を示す金額の差のことです。

たとえば、次のような状況を考えてください:

  • 50%の確率で100万円、50%の確率で0円もらえる。
  • このゲームの期待値は \( 0.5 \times 100 + 0.5 \times 0 = 50 \) 万円。

しかし、ある人がこのゲームの代わりに「40万円を確実にもらえるなら、それを選ぶ」と言ったとしましょう。このとき、

  • この人にとっての「確実同等額(certainty equivalent)」は40万円。
  • リスクプレミアムは \( 50 – 40 = 10 \) 万円。

つまり、「この人は10万円分のリスクを回避したい」と考えているわけです。

5. 具体例で学ぼう

もっと具体的に数式で見てみましょう。

ある人の効用関数が次のように与えられているとします:

\[ u(x) = \sqrt{x} \]

この人が次のくじに直面しているとします:

  • 50%の確率で100万円
  • 50%の確率で0円

このときの期待効用は:

\[ EU = 0.5 \cdot u(100) + 0.5 \cdot u(0) = 0.5 \cdot \sqrt{100} + 0.5 \cdot \sqrt{0} = 0.5 \cdot 10 + 0 = 5 \]

では、この人にとって「確実にもらえる金額で効用が5になる金額」はいくらでしょうか?

\[ u(x) = 5 \Rightarrow \sqrt{x} = 5 \Rightarrow x = 25 \]

つまり、この人は「25万円を確実にもらえるなら、くじをやらない」と考えているということです。よって、

  • 期待値 = 50万円
  • 確実同等額 = 25万円
  • リスクプレミアム = \( 50 – 25 = 25 \) 万円

この25万円がリスクプレミアムです。

6. まとめ

  • 「リスク」とは確率がわかっている不確実性。
  • 「期待効用」は、効用の確率的な平均。
  • 「危険回避的」な人は、確実な選択を好む。
  • 「リスクプレミアム」は、リスクのある選択と確実な選択の効用の差をお金で表したもの。

これらは保険や投資、労働市場など、経済のさまざまな分野で使われるとても大切な考え方です。高校の数学と論理を使って理解できるので、ぜひこの機会に身につけておきましょう!

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