高校生のためのサンクコストと機会費用の完全ガイド
目次
1. サンクコストとは何か?
サンクコスト(Sunk Cost)とは、すでに支払ってしまったお金や時間など、将来の意思決定において回収できない費用のことです。簡単に言えば「取り返せないコスト」です。
例えば、映画のチケットを1,800円で買ったとしましょう。でも、映画がとても退屈だったとします。それでも「せっかくお金払ったんだから、最後まで観なきゃもったいない」と思ってしまう。このときの1,800円がサンクコストです。
この費用はすでに支払ってしまっており、もうどう頑張っても取り返せません。したがって、今後の行動(映画を最後まで見るか帰るか)は、この費用を考慮せずに決めるのが合理的です。
2. 機会費用とは何か?
機会費用(Opportunity Cost)とは、ある選択をしたことで失われる「別の選択肢の中で最も価値が高かったもの」のことです。
たとえば、友達とカラオケに行く代わりに家で勉強したとします。このときの機会費用は、「カラオケに行って楽しい時間を過ごすこと」です。
経済学では、何かを選ぶときに、その選択肢のコストだけでなく、「何を諦めたのか」を考えることがとても重要です。
3. サンクコストと機会費用の違い
| 比較項目 | サンクコスト | 機会費用 |
|---|---|---|
| 定義 | すでに支払って回収できない費用 | ある選択によって失われる最も価値ある選択肢 |
| 意思決定への影響 | 考慮してはいけない | 必ず考慮するべき |
| 例 | 見たくない映画のチケット代 | 映画を見ることで失う勉強時間 |
4. 意思決定にどう関係する?
合理的な意思決定とは、これからの選択肢の中で最も価値のある行動を選ぶことです。サンクコストはその判断を妨げる落とし穴です。一方、機会費用は意思決定の中心となる考え方です。
例:あなたは2時間を使ってアルバイトをするか、友達と遊ぶかで迷っています。
- アルバイトをすれば2,000円稼げる。
- 友達と遊べば、リフレッシュできてストレスが減る。
このとき、どちらの価値が自分にとって高いかを比べる必要があります。「失われる方の価値」が機会費用になります。
5. 身近な例で考えてみよう
例1:ゲームソフトを買ったけど面白くなかった
5,000円で買ったゲームが全然面白くない。でも「5,000円も出したからやり続けよう」と思ってしまう。これはサンクコストに囚われた判断です。本来は「今後の時間を何に使うか」で判断すべきです。
例2:部活動か塾かの選択
部活を続ければ友人関係が強くなるけれど、塾に行けば学力が上がる。ここで考えるべきは「どちらを選んだときに何を諦めるのか?」つまり機会費用です。
例3:お弁当を作る vs コンビニで買う
お弁当を作るのに30分かかる。コンビニで買えば500円かかるけれど時間は節約できる。このときの意思決定には時間の価値=機会費用を考慮する必要があります。
6. 数式で理解する機会費用
機会費用は次のように表現されます。
$$ \text{機会費用} = \max(\text{他の選択肢による利益}) – \text{実際に選んだ選択肢の利益} $$
例えば、選択肢Aで利益が1,000円、選択肢Bで利益が800円なら、選択肢Bを選んだときの機会費用は
$$ \text{機会費用} = 1,000 – 800 = 200\text{円} $$
このように、失われる「最大の可能性」を数式で捉えることができます。
7. まとめ
- サンクコスト:取り返せない費用。意思決定には無関係。
- 機会費用:何かを選ぶことで諦めた「最も価値ある他の選択肢」。意思決定には必ず考慮する。
- 合理的な行動をとるためには、過去ではなく未来を基準に判断することが大切。
経済学の考え方は、日常生活の中の様々な選択にも応用できます。サンクコストに惑わされず、機会費用を意識することで、より賢い判断ができるようになります。