高校生でもわかる!一般均衡の徹底解説|経済学の基本をやさしく理解しよう

高校生でもわかる!一般均衡の徹底解説|経済学の基本をやさしく理解しよう


一般均衡とは?

一般均衡とは、経済学において「すべての市場が同時に均衡状態にある状態」を指します。ここでの「均衡」とは、売り手の売りたい量と買い手の買いたい量が一致し、市場の価格が安定している状態のことです。 たとえば、リンゴ市場だけでなく、パンや魚、市場全体がすべて均衡している状態を考えます。一般均衡では、複数の市場が互いに影響し合いながらも全体としてバランスを保つことがポイントです。

経済活動は複雑な相互関係の上に成り立っているため、一つの市場だけでなく、全体の市場が均衡しているかどうかを理解することは経済の本質をとらえる上でとても大切です。

なぜ一般均衡が重要なのか

経済学では、価格や資源配分がどう決まるかを理解するために「均衡」の概念を使います。部分的に見れば簡単ですが、現実の経済は多くの市場が複雑に絡み合っています。 一般均衡分析は、その複雑さを数学的に整理し、「経済全体がどうやってバランスを取っているのか?」を説明します。これにより、政府の政策がどのように経済全体に影響を与えるか予測できるのです。

たとえば、ある税金が導入された場合、その影響は単に税をかけられた市場だけでなく、関連する他の市場にも波及します。一般均衡の考え方がないとこうした連鎖的な影響を正しく捉えられません。

需要と供給の基本

まず経済学の基礎である「需要と供給」について簡単に説明します。
需要(Demand)は、消費者がある価格で買いたい商品の量です。価格が低いほど需要は増え、価格が高いほど需要は減ります。
供給(Supply)は、生産者がある価格で売りたい商品の量です。価格が高いほど供給は増え、価格が低いほど供給は減ります。

需要曲線と供給曲線が交わる点が市場の均衡点であり、その時の価格を「均衡価格」、数量を「均衡数量」と呼びます。

例えば、リンゴ市場で価格が1個100円なら、消費者が1000個買いたい量と生産者が1000個売りたい量が一致すれば均衡状態です。

部分均衡と一般均衡の違い

部分均衡分析は、一つの市場だけを切り取って均衡を考えます。たとえば、リンゴ市場だけを見て需要と供給を調べる方法です。これは分析が簡単ですが、他の市場の影響を無視しています。
一方、一般均衡分析は、複数の市場すべてを同時に考え、その相互作用も含めて均衡を調べます。

たとえば、リンゴの価格が上がると、消費者はリンゴの代わりにバナナを買うかもしれません。このような市場間の影響を無視してしまうのが部分均衡であり、考慮するのが一般均衡です。

一般均衡モデルの具体例

代表的な一般均衡モデルとして、ウォルラスの一般均衡モデルがあります。ここでは、複数の財(例えば、リンゴとバナナ)と複数の消費者・生産者が存在し、それぞれの行動が市場価格に影響を与えます。

例: 2つの財($X$と$Y$)と2人の消費者(AさんとBさん)がいる経済を考えます。
– Aさんは$X$と$Y$をどう組み合わせて買うか選ぶ
– Bさんも同様に選ぶ
– 生産者は$X$と$Y$を作るために資源を配分
価格が決まると、AさんとBさんの需要と生産者の供給が一致する価格の組み合わせが一般均衡です。

一般均衡の数式モデル

一般均衡は数式で表すことができます。代表的な式は以下のようなものです。
それぞれの市場$i$に対し、価格$p_i$があり、需要関数$D_i(p_1, p_2, …, p_n)$と供給関数$S_i(p_1, p_2, …, p_n)$が存在します。

均衡条件:
\[ D_i(p_1, p_2, …, p_n) = S_i(p_1, p_2, …, p_n) \quad \text{for all } i=1,2,\ldots,n \]
この$n$個の方程式を同時に満たす価格ベクトル$\mathbf{p} = (p_1, p_2, …, p_n)$が一般均衡価格です。

ここでのポイントは、価格は単独の市場だけで決まるわけでなく、他のすべての市場の価格にも依存することです。

一般均衡の存在証明とは?

経済学者は、こうした一般均衡が実際に存在するかどうかを数学的に証明しました。1950年代にレオンティエフやウォルラスの考え方をもとにケネス・アローやジェラール・ドブリンが「一般均衡存在定理」を示しました。

この定理は「適切な条件が揃えば、少なくとも一つの均衡価格が存在する」ことを保証します。これにより、経済の複雑な動きが理論的に整合的であることが裏付けられました。

一般均衡の現実社会での役割

現実の経済政策を考える際、一般均衡分析はとても役立ちます。例えば、関税の引き上げや環境税の導入が、どのように複数の市場に影響し、最終的に消費者や生産者の行動がどう変わるかを予測できます。

また、国際貿易や資源配分、所得分配の分析にも一般均衡モデルが使われています。経済全体のバランスを考えることで、より良い政策判断が可能になるのです。

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