【高校数学で完全理解】cosnθをcosθの多項式で表す方法を徹底解説
この記事では、三角関数の合成や複素数平面の知識を使って、「\\(\cos n\theta\\) を \\(\cos\theta\\) の多項式で表す方法」を高校生向けに丁寧に解説します。特に、ド・モアブルの定理や加法定理を活用して、理論的な背景と具体的な計算方法の両方を理解していきましょう。
目次
- 1. なぜ cosnθ を cosθ の多項式で表すのか?
- 2. ド・モアブルの定理からのアプローチ
- 3. cosnθ の cosθ 多項式展開の導出
- 4. 具体例で確認しよう(n=2, 3, 4)
- 5. 一般的な形のまとめ
- 6. まとめと学習のポイント
1. なぜ cosnθ を cosθ の多項式で表すのか?
高校数学では、三角関数の合成や変換は非常に重要です。特に次のような場面で「\\(\cos n\theta\\) を \\(\cos\theta\\) の式で表したい」ことがあります。
- 加法定理や倍角の公式の応用
- 三角関数のグラフを描くとき
- 複雑な三角関数を簡単化したいとき
また、入試でもよく問われる内容であり、三角関数を多項式的に操作できる能力は非常に強力です。
2. ド・モアブルの定理からのアプローチ
複素数平面を使うと、三角関数を指数関数的に扱えます。特に次の定理が有名です。
ド・モアブルの定理:
\\[ (\cos\theta + i\sin\theta)^n = \cos(n\theta) + i\sin(n\theta) \\]
この式の左辺を展開して、実部を取り出すと \\(\cos n\theta\\) の式が得られます。
3. cosnθ の cosθ 多項式展開の導出
\\(\cos\theta + i\sin\theta\\) を n 乗したときの展開は二項定理により次のようになります。
\\[ (\cos\theta + i\sin\theta)^n = \sum_{k=0}^{n} \binom{n}{k} \cos^{n-k}\theta \cdot (i\sin\theta)^k \\]
この中から 実部を取り出すには、偶数乗の項(\\(k\\) が偶数)だけを取り出して、\\(i^k\\) を評価します。
たとえば、n = 2 の場合:
\\[ (\cos\theta + i\sin\theta)^2 = \cos^2\theta – \sin^2\theta + 2i\cos\theta\sin\theta \\]
この実部は:
\\[ \cos(2\theta) = \cos^2\theta – \sin^2\theta \\]
ここで、\\(\sin^2\theta = 1 – \cos^2\theta\\) を代入すれば:
\\[ \cos(2\theta) = 2\cos^2\theta – 1 \\]
このように、\\(\cos n\theta\\) は常に \\(\cos\theta\\) の n 次以下の多項式で表せます。
4. 具体例で確認しよう(n=2, 3, 4)
n = 2 の場合
\\[ \cos(2\theta) = 2\cos^2\theta – 1 \\]
n = 3 の場合
三倍角の公式を用います:
\\[ \cos(3\theta) = 4\cos^3\theta – 3\cos\theta \\]
n = 4 の場合
\\[ \cos(4\theta) = 8\cos^4\theta – 8\cos^2\theta + 1 \\]
このように、\\(\cos n\theta\\) は \\(\cos\theta\\) の多項式として次々に展開できます。
5. 一般的な形のまとめ
\\(\cos n\theta\\) は次のような形式の多項式になります:
\\[ \cos(n\theta) = T_n(\cos\theta) \\]
ここで \\(T_n(x)\\) は チェビシェフ多項式と呼ばれ、以下の漸化式を満たします:
- \\(T_0(x) = 1\\)
- \\(T_1(x) = x\\)
- \\(T_{n+1}(x) = 2x T_n(x) – T_{n-1}(x)\\)
この関係を使えば、\\(n\\) が大きくなっても逐次的に多項式を求められます。
6. まとめと学習のポイント
- \\(\cos n\theta\\) は \\(\cos\theta\\) の n 次多項式として表せる。
- ド・モアブルの定理と実部抽出により導出できる。
- チェビシェフ多項式を使えば再帰的に求めることができる。
- 三角関数を多項式的に扱えることは計算や証明で非常に有利。
高校数学の範囲でも理解可能なこのトピックは、数学の世界の奥深さを感じさせてくれる重要なテーマです。練習問題として、\\(\cos(5\theta)\\) や \\(\cos(6\theta)\\) を多項式で表してみましょう。