全微分の定義・性質・求め方を徹底解説
本記事では、「全微分」の定義からその性質、求め方に至るまで、具体例を交えて詳しく解説します。数学の基礎として重要な概念であり、さまざまな分野で活用されますので、しっかりと理解しておきましょう。
目次
全微分の定義
全微分とは、複数の変数を持つ関数において、ある変数が変化したときに、全体としての変化量をどのように表現するかを示すものです。1変数関数での微分は直感的に理解しやすいですが、複数の変数が関わる場合、全微分が必要です。
具体的には、2変数関数 \( f(x, y) \) の全微分は次のように定義されます:
$$ df = \frac{\partial f}{\partial x} dx + \frac{\partial f}{\partial y} dy $$ ここで、\( \frac{\partial f}{\partial x} \) と \( \frac{\partial f}{\partial y} \) はそれぞれ、\( x \) と \( y \) に関する偏微分を意味します。そして、\( dx \) と \( dy \) はそれぞれ \( x \) と \( y \) の変化量を表しています。この定義が示すのは、\( x \) と \( y \) の微小な変化により、\( f(x, y) \) がどれだけ変化するかを示すものです。全微分の性質
全微分にはいくつかの重要な性質があります。ここではその中から主なものを紹介します。
- 線形性: 全微分は線形の操作を満たします。つまり、もし \( f(x, y) \) と \( g(x, y) \) がそれぞれ連続で微分可能なら、次のような性質が成り立ちます: $$ d(f + g) = df + dg $$
- 加法性: 変数が複数の場合、各変数の全微分を合成することで、複合関数の全微分を求めることができます。
- 積の微分: 2つの関数 \( f(x, y) \) と \( g(x, y) \) の積の全微分は次のように求められます: $$ d(fg) = f \, dg + g \, df $$
全微分の求め方
全微分を求めるための一般的な手順を以下に示します。
- 関数 \( f(x_1, x_2, \dots, x_n) \) を確認します。
- それぞれの変数に関する偏微分を計算します。
- 得られた偏微分を使って、全微分の式を構築します。
- 微小な変化量を適用して、結果を求めます。
具体的な例として、関数 \( f(x, y) = x^2 + y^2 \) の全微分を求めてみましょう。
まず、偏微分を計算します:
$$ \frac{\partial f}{\partial x} = 2x, \quad \frac{\partial f}{\partial y} = 2y $$ したがって、全微分は次のようになります: $$ df = 2x \, dx + 2y \, dy $$全微分の具体例
次に、具体的な関数で全微分をどのように使うかを見ていきましょう。
例えば、関数 \( f(x, y) = x^3 + 2xy + y^2 \) を考えます。この場合、全微分を求めるためには、まず偏微分を計算します:
$$ \frac{\partial f}{\partial x} = 3x^2 + 2y, \quad \frac{\partial f}{\partial y} = 2x + 2y $$ したがって、全微分は次のように求められます:全微分の応用
全微分は、物理学や経済学など、さまざまな分野で応用されます。例えば、経済学においては、複数の要因が影響する関数の変化を理解するために全微分が用いられます。
また、最適化問題においても、関数の変化を評価するために全微分が重要な役割を果たします。特に、変数が複数ある場合の感度分析などに役立ちます。