【これで完璧】行列のランクとは?定義・求め方・例を解説
【これで完璧】行列のランクとは?定義・求め方・例を徹底解説!
行列のランク(階数)は、線形代数において非常に重要な概念です。この記事では、ランクの定義から意味、具体的な求め方や例題まで、分かりやすく丁寧に解説します。
目次
行列のランクの定義
行列のランク(rank)とは、行列の一次独立な行(または列)の最大数を表す値です。これは、行列が持つ情報の「次元数」とも言えます。
形式的には、次のように定義されます:
行列 \( A \) に対して、
\( \text{rank}(A) = \max \{ r \mid A \text{ の } r \times r \text{ 部分行列の行列式が 0 でない} \} \)
あるいは、次のようにも定義されます:
行列 \( A \) の行ベクトル(または列ベクトル)から、一次独立な最大数のベクトルを選んだときの個数がランクです。
ランクの意味と直感的理解
ランクは、行列がどれだけ「自由度」を持っているか、つまりどれだけ独立した情報を持っているかを示します。
- ランク = 0:すべての要素が 0。
- ランク = 1:すべての行(または列)があるベクトルの定数倍。
- ランク = 行数 または 列数(の小さい方):最大限に独立な情報を持っている。
例えば、2次元平面上のベクトルが同一直線上にあればランクは1、そうでなければ2です。
行列のランクの求め方
行列のランクを求めるには、次のような方法があります:
1. 行基本変形を使う方法(ガウス消去法)
行基本変形により、行列を簡約化(階段行列など)し、ゼロでない行の数を数える方法です。
具体的な手順:
- 行基本変形(行の入れ替え、定数倍、加減)を使って簡約化。
- ゼロでない行の数を数える → それがランク。
2. 部分行列の行列式を使う方法
すべての \( r \times r \) 部分行列の行列式を計算し、最大で 0 でない \( r \) を求めます。時間がかかるため、手計算ではあまり使いません。
具体例で理解しよう
例1:簡単な2×2行列
\[ A = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 6 \end{pmatrix} \]
この行列の2行目は1行目の3倍なので、一次独立な行は1つしかありません。したがって、ランクは1です。
例2:3×3行列
\[ B = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 0 & 1 & 4 \\ 2 & 5 & 11 \end{pmatrix} \]
行基本変形で次のようになります:
まず、1行目はそのまま。
3行目 – 2×1行目 → 新しい3行目は \( (0, 1, 5) \)
次に2行目を使って3行目を処理 → 3行目 – 1×2行目 = \( (0, 0, 1) \)
よって、階段行列は:
\[
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3 \\
0 & 1 & 4 \\
0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\]
ゼロでない行が3つ → ランクは3。
例3:列ベクトルが一次独立かどうかを見る
\[ C = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 0 & 1 & 2 \end{pmatrix} \]
列ベクトル3本のうち、3本目が1本目と2本目の線形結合になっているか確認:
\( 3 = 1×1 + 2×1 \) のように表せるなら独立でない。
実際に見ると、3列目 = 1列目 + 2列目なので、独立な列ベクトルは2本。ランクは2。
ランクの応用と重要性
ランクの概念は様々な分野で応用されます。
- 連立一次方程式の解の個数や存在を判定する。
- ベクトル空間の次元や基底の個数を把握する。
- 主成分分析(PCA)や機械学習における次元削減。
- 行列の逆行列の存在判定(正方行列かつランク = サイズであれば逆行列が存在)。
ランクを理解することで、線形代数の問題だけでなく、応用数学やデータ分析でも非常に役立ちます。