【LaTeX】ISO/JISの数式組版規則とは
ISO(国際標準化機構)およびJIS(日本工業規格)では、数式を美しく整然と組版するための規則が定められています。これらの規則は、視認性や可読性を向上させることを目的とし、学術論文や技術文書などで用いられます。本記事では、LaTeXでISO/JISの数式組版規則を実現する方法について解説します。
基本的なスペースと間隔の調整
数式内での文字や記号間の適切な間隔は、可読性の観点から非常に重要です。ISO/JISでは、以下のような間隔が推奨されています。
- 演算子(例: +, -, ×)の前後に適切なスペースを設ける。
- 関数(例: sin, log)の引数との間にスペースを置かない。
- 分数やルート記号のサイズを文脈に応じて調整する。
以下はLaTeXでの具体例です。
\[ a + b \quad \text{(加算演算子の間隔)} \] \[ \sin x \quad \text{(関数と引数の間にスペースを置かない)} \]
数式の配置
数式を文中に配置する場合と、独立した行に配置する場合の取り扱いが異なります。
- 文中数式: 本文と調和するように組版し、行間や文字間隔が不自然にならないようにする。
- ディスプレイ数式: 左右に適切なマージンを設け、他の文章と区別する。
具体的なLaTeXのコード例を示します。
文中数式の例: \( E = mc^2 \) ディスプレイ数式の例: \[ \int_{0}^{\infty} e^{-x^2} dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2} \]
分数とルート記号
ISO/JISでは、分数やルート記号が数式全体のバランスを損なわないように設計することが求められます。分数の線の長さやルート記号の高さは、文脈に応じて調整します。
\[ \frac{a}{b} \quad \text{(通常の分数)} \] \[ \sqrt{a^2 + b^2} \quad \text{(通常のルート記号)} \]
行列と配列
行列や配列は、縦横のスペースを均等に配置し、視認性を高める必要があります。ISO/JIS規則では、列間や行間に適切な余白を設けることが推奨されています。
\[ \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix} \quad \text{(行列の例)} \] \[ \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{array} \quad \text{(配列の例)} \]
応用例
以下に、ISO/JIS規則を反映した複数の数式を示します。
\[ E = mc^2 \quad \text{(エネルギーと質量の関係)} \] \[ f(x) = \int_{a}^{b} g(t) \, dt \quad \text{(積分の例)} \] \[ \begin{aligned} a^2 + b^2 &= c^2 \\ a &= \sqrt{c^2 - b^2} \end{aligned} \quad \text{(ピタゴラスの定理)} \]
まとめ
LaTeXを使用してISO/JISの数式組版規則を適用することは、適切なパッケージやコマンドを使用することで可能です。本記事で紹介した方法や例を参考に、文書全体の整合性を保つ数式組版を心がけましょう。