ExcelのIS関数群の解説【エラー判定】
このページでは、Excelに用意されているさまざまなIS関数について、初心者向けに丁寧な解説を行います。各関数の役割、使用例、注意点などを具体例を交えて説明していますので、Excelでのデータ処理やエラー処理に役立ててください。
目次
- ISERROR関数
- ISNA関数
- ISERR関数
- ISBLANK関数
- ISEVEN関数
- ISODD関数
- ISLOGICAL関数
- ISNUMBER関数
- ISTEXT関数
- ISNONTEXT関数
- ISREF関数
- ISFORMULA関数
- ISOMITTED関数
ISERROR関数
ISERROR関数は、指定した値がエラーの場合にTRUEを返す関数です。対象となるエラーには、#DIV/0!、#VALUE!、#REF!、#NAME?、#NUM!、#NULL!、#N/Aなどが含まれます。
例えば、=ISERROR(A1/B1)
という式では、B1が0の場合に計算結果として#DIV/0!エラーが発生し、ISERRORはTRUEを返します。
逆に、正しい数値が返される場合はFALSEとなります。これにより、計算結果がエラーかどうかを簡単にチェックすることができます。
エラー発生時に代替値を返すIF関数との組み合わせもよく使われます。
例: =IF(ISERROR(VLOOKUP("検索値", A1:B10, 2, FALSE)), "エラー", VLOOKUP("検索値", A1:B10, 2, FALSE))
このように、ISERROR関数はエラー処理をシンプルに行いたい場合に大変便利です。
ISNA関数
ISNA関数は、指定した値が#N/Aエラーの場合にTRUEを返します。#N/Aは、データが見つからなかった場合や参照できなかった場合に発生するエラーです。
主に、VLOOKUPやMATCH関数などで検索対象が存在しなかったときに使われます。
例: =ISNA(VLOOKUP("キー", A1:B10, 2, FALSE))
この場合、検索値が見つからないと#N/Aエラーとなり、ISNAはTRUEを返します。
ISNAを使うことで、検索結果が存在しない場合のエラー処理を行い、分かりやすいメッセージを表示するなどの工夫が可能になります。
例えば、=IF(ISNA(VLOOKUP("キー", A1:B10, 2, FALSE)), "該当なし", VLOOKUP("キー", A1:B10, 2, FALSE))
と記述することで、エラー時に「該当なし」と表示させることができます。
ISERR関数
ISERR関数は、指定した値がエラーであるかを判定しますが、#N/Aエラー以外のエラーの場合にTRUEを返します。
例えば、=ISERR(1/0)
の場合、1を0で割るため#DIV/0!エラーが発生し、ISERRはTRUEを返します。
しかし、=ISERR(VLOOKUP("値", A1:B10, 2, FALSE))
で、もし#N/Aエラーが返された場合はFALSEとなります。
この関数は、エラーの種類をより細かく判断し、特定のエラー以外の状況に対応するために利用されます。
エラー処理を行う際、ISERROR関数と使い分けることで、#N/Aエラーを特別扱いすることができます。
例えば、数式の中で#N/A以外のエラーが発生した場合のみ代替処理を実施するシナリオで活用できます。
ISBLANK関数
ISBLANK関数は、指定したセルが空白の場合にTRUEを返します。ここでの空白とは、何も入力されていない状態のセルを指します。
例: =ISBLANK(A1)
A1セルに何も入力されていなければ、TRUEが返されます。なお、空文字列 ""
は空白と見なされないので注意が必要です。
ISBLANKは、データ入力の有無を確認する際に非常に役立ちます。
例えば、データが入力されていない場合に警告メッセージを表示するなど、条件付き書式やエラーチェックに利用できます。
実務においては、入力ミスや欠損データの確認によく使われる関数です。
ISEVEN関数
ISEVEN関数は、指定した数値が偶数である場合にTRUEを返します。偶数とは、2で割り切れる整数を意味します。
例: =ISEVEN(4)
はTRUEを返します。
一方、=ISEVEN(5)
はFALSEとなり、5は奇数であるためです。
また、負の数についても同様に動作します。例えば、=ISEVEN(-2)
はTRUEを返します。
この関数は、数値データの性質を判別する際に利用でき、条件付き計算やデータ分類に役立ちます。
計算式の中で偶数・奇数を基準とした処理分岐を組む際に、非常に便利です。
ISODD関数
ISODD関数は、指定した数値が奇数である場合にTRUEを返します。奇数は、2で割ったときに余りが1となる数です。
例: =ISODD(3)
はTRUEを返します。
例: =ISODD(8)
はFALSEを返し、8は偶数です。
負の数でも正しく判定され、例えば =ISODD(-5)
はTRUEを返します。
この関数は、偶数判定のISEVEN関数と合わせて使用することで、数値データの分類に役立ちます。
条件付き書式や分岐処理など、さまざまなシーンで活用可能です。
ISLOGICAL関数
ISLOGICAL関数は、指定した値が論理値(TRUEまたはFALSE)である場合にTRUEを返します。
例: =ISLOGICAL(TRUE)
はTRUEを返します。
例: =ISLOGICAL(FALSE)
もTRUEを返します。
ただし、文字列の “TRUE” や “FALSE” は論理値ではないため、=ISLOGICAL("TRUE")
はFALSEとなります。
この関数は、データが本当に論理値かどうかをチェックする際に便利です。
複雑な計算式やデータ検証の中で、期待するデータ型かを確認するのに役立ちます。
ISNUMBER関数
ISNUMBER関数は、指定した値が数値である場合にTRUEを返します。数値と認識されるものは、整数、少数、日付(シリアル値)などです。
例: =ISNUMBER(123)
はTRUEを返します。
例: =ISNUMBER(45.67)
もTRUEとなります。
一方、文字列として入力された “123” は数値とは見なされず、FALSEが返されます。
この関数は、数値データかどうかを確認するために用いられ、計算式のエラー回避やデータ型チェックに有用です。
入力データの種類を正確に判断することで、より正確な処理が可能になります。
ISTEXT関数
ISTEXT関数は、指定した値が文字列の場合にTRUEを返します。文字列とは、アルファベット、漢字、記号など、テキストデータを指します。
例: =ISTEXT("Excel")
はTRUEを返します。
数値や論理値は文字列ではないため、=ISTEXT(2025)
や =ISTEXT(TRUE)
はFALSEとなります。
この関数は、セルに入力されているデータが文字列かどうかを確認する際に利用できます。
データの種類によって処理を分岐させる場合に非常に役立ちます。
例えば、数値と文字列で異なる書式設定や計算を行いたいときに使用できます。
ISNONTEXT関数
ISNONTEXT関数は、指定した値が文字列以外の場合にTRUEを返します。つまり、数値、論理値、エラー、空白などが該当します。
例: =ISNONTEXT(100)
はTRUEを返します。
例: =ISNONTEXT("データ")
はFALSEとなり、文字列の場合は対象外です。
この関数は、データが文字列でないことを確認するのに適しており、入力データの型チェックに利用できます。
たとえば、数値のみを処理する必要がある場合に、文字列が混在していないかを確認できます。
データの整合性を保つためのチェックツールとしても役立ちます。
ISREF関数
ISREF関数は、指定した値がセル参照である場合にTRUEを返します。セル参照とは、例えばA1やB2のように、セルを直接指定するものです。
例: =ISREF(A1)
はTRUEを返します。
数値や文字列、またはその他の定数に対してはFALSEが返されます。
この関数は、セル参照が正しく設定されているかを確認するために使用できます。
複雑な数式の中で、セル参照部分をチェックする際に役立ちます。
ISREFを用いることで、セル範囲が有効かどうかを動的に検証することが可能です。
ISFORMULA関数
ISFORMULA関数は、Excel 2013以降で利用可能な関数で、指定したセルに数式が含まれている場合にTRUEを返します。
例: セルA1に =SUM(B1:B10)
という数式が入力されている場合、=ISFORMULA(A1)
はTRUEを返します。
単なる値が入力されているセルでは、FALSEが返されます。
この関数は、シート内の数式の有無を判定し、後からデータを更新する際のチェックに有用です。
例えば、誤って値が上書きされていないかを確認するために使うことができます。
数式と定数を区別して処理を行う場合にとても便利です。
ISOMITTED関数
ISOMITTED関数は、Office 365で導入されたLAMBDA関数に関連する関数で、LAMBDAの引数が省略されている場合にTRUEを返します。
通常、LAMBDA関数では定義した引数に対して値を渡す必要がありますが、省略された場合にこの関数を利用してエラーチェックが可能です。
例: =LAMBDA(x, IF(ISOMITTED(x), "引数が省略されました", x))()
この例では、引数が渡されなかったため、「引数が省略されました」というメッセージが返されます。
ISOMITTED関数は、柔軟な関数定義や引数のデフォルト値の設定を行う際に特に有用です。
LAMBDA関数と組み合わせることで、ユーザー定義関数のエラーチェックやデバッグがしやすくなります。
まとめ
今回紹介したIS関数群は、Excelにおけるエラー処理やデータ型のチェックを行う上で非常に強力なツールです。
ISERROR、ISNA、ISERRはエラーの種類に応じた判定が可能で、ISBLANKは入力の有無を確認する際に活躍します。
ISEVENやISODDは数値の性質を判別し、ISLOGICAL、ISNUMBER、ISTEXT、ISNONTEXTはデータの種類をチェックするのに役立ちます。
また、ISREFはセル参照の正否を、ISFORMULAは数式の有無を確認し、ISOMITTEDはLAMBDA関数での引数省略を判定します。
これらの関数を組み合わせることで、より堅牢で使いやすいExcelシートを作成することができます。
ぜひ実際にExcel上で各関数を試してみて、用途に合わせた使い方を習得してください。
本解説が、皆さんのExcelスキル向上の一助となれば幸いです。