【高校生必見】所得効果と代替効果を完全マスター:経済学の応用まで徹底解説!

【高校生必見】所得効果と代替効果を完全マスター:経済学の応用まで徹底解説!

経済学の中でも重要な概念である「所得効果」と「代替効果」。高校の政治・経済でも取り上げられますが、大学レベルのミクロ経済学でも基本となる考え方です。本記事では、この2つの効果について、基礎から応用まで詳しく解説します。図や例題、数式も交えて、わかりやすく学べる内容になっています。

目次

1. 所得効果と代替効果とは?

消費者がある財の価格変化に直面したとき、消費量が変わる理由は主に2つあります。

  • 代替効果:他の財との相対価格が変わることで、より安い財に切り替える効果。
  • 所得効果:価格が下がることで実質的に所得が増えたように感じ、消費全体を増やす効果。

たとえば、リンゴとバナナしか消費しない人がいて、リンゴの価格が下がったとします。このとき、リンゴが「相対的に」安くなるのでリンゴの消費量が増える(代替効果)。さらに、同じお金でより多くの果物が買えるようになるため、リンゴとバナナの両方を多く買う(所得効果)可能性もあります。

2. グラフで見る所得効果と代替効果

次に、無差別曲線と予算線を使って視覚的に理解しましょう。

代替効果とは、「同じ効用水準を保ったまま、価格変化によって最適点がどう変わるか」。これは、元の無差別曲線と接する新しい価格に基づいた仮想的な予算線を考えることで求められます。

一方、所得効果は、「その代替効果の後に、実際の新しい予算線に応じて最適点がどう動くか」です。

3. 数式で理解する代替効果と所得効果

代替効果と所得効果を数式的に捉えるために、ヒックス分解(Hicksian decomposition)を使います。

消費量の変化を次のように分解します:

\[ \Delta x = (x(p’, U’) – x(p, U)) = [x(p’, U) – x(p, U)] + [x(p’, U’) – x(p’, U)] \]
  • \(x(p, U)\):元の価格と効用での消費量
  • \(x(p’, U)\):新価格でも元の効用水準を保つときの消費量(代替効果)
  • \(x(p’, U’)\):新価格と新しい効用での消費量(最終的な消費量)

最初の括弧が代替効果、次の括弧が所得効果です。

4. 例題:価格変化に伴う消費の変化を分析しよう

問題: 消費者はX財とY財を消費し、効用関数は \( U(x, y) = x \cdot y \) とします。所与の所得は10、最初の価格は \(p_x = 2, p_y = 1\)、X財の価格が1に下がったときの代替効果と所得効果を求めなさい。

解答:

最初の最適消費点は、ラグランジュ法を用いて求めます:

\[ \mathcal{L} = x y + \lambda (10 – 2x – y) \] \[ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial x} = y – 2\lambda = 0,\quad \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial y} = x – \lambda = 0,\quad \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \lambda} = 10 – 2x – y = 0 \]

これを解くと、\( x = 2, y = 6 \)。効用は \( U = 2 \cdot 6 = 12 \)。

次に、Xの価格が1になったとき、代替効果を求めるため、元の効用12を維持する仮想的な予算線で最適化:

\[ \mathcal{L} = x y + \lambda (I’ – x – y) \quad \text{ただし } x y = 12 \]

同様に計算すると、代替効果として得られるXの消費量は \( x = 3, y = 4 \)。

実際の価格下での最適消費点は所得10を使って:

\[ \mathcal{L} = x y + \lambda (10 – x – y) \]

これを解くと、\( x = 5, y = 5 \)。

したがって、代替効果: \( 3 – 2 = 1 \)、所得効果: \( 5 – 3 = 2 \)

5. 応用:労働供給とレジャーの選択

所得効果と代替効果は、労働供給モデルにも応用されます。たとえば、時給が上がると、以下のような2つの力が働きます。

  • 代替効果:時給が高い=レジャーの「機会費用」が上がる → レジャーを減らして労働時間を増やす
  • 所得効果:時給が高い=同じ収入を得るのに働く時間が減る → レジャーを増やす

このバランスによって、労働供給が増えることもあれば、減ることもあります。特に高所得層になると、所得効果が代替効果を上回って労働時間が減ることもあります。

6. まとめと学習のポイント

  • 代替効果と所得効果は、価格変化による消費行動を分解して理解するための基本的なフレームワーク。
  • 無差別曲線と予算線のグラフで視覚的に把握し、数式を使って理論的に裏付けることが大切。
  • 応用として、労働供給モデルや税の分析など、さまざまな場面で登場する。

高校生のうちにこの考え方を身につけておけば、大学で経済学を学ぶときに大いに役立ちます。ぜひ復習してみてください!

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