高校数学|連立方程式の発展的な解き方を徹底解説【例題つき】
目次
連立方程式とは?
連立方程式とは、複数の方程式を同時に満たす変数の値を求める問題です。たとえば、次のような2つの一次方程式からなる連立方程式を考えてみましょう:
\[ \begin{cases} x + y = 5 \\ 2x – y = 1 \end{cases} \]
このような方程式において、すべての方程式を同時に成立させる \(x, y\) の値を求めることが目的です。
基本的な解法:代入法と加減法
代入法
一つの式から変数を解き、それを他の式に代入します。
例題:
\[ \begin{cases} x + y = 5 \\ 2x – y = 1 \end{cases} \]
1つ目の式より \( y = 5 – x \)。これを2つ目の式に代入:
\[ 2x – (5 – x) = 1 \Rightarrow 3x = 6 \Rightarrow x = 2 \]
すると、\( y = 5 – 2 = 3 \)。したがって解は \( (2, 3) \)。
加減法
2つの式を加減して、1つの変数を消去します。
例題:
\[ \begin{cases} 3x + 2y = 12 \\ 5x – 2y = 8 \end{cases} \]
加えると:
\[ (3x + 2y) + (5x – 2y) = 12 + 8 \Rightarrow 8x = 20 \Rightarrow x = \frac{5}{2} \]
これを1つ目の式に代入:
\[ 3 \cdot \frac{5}{2} + 2y = 12 \Rightarrow \frac{15}{2} + 2y = 12 \Rightarrow 2y = \frac{9}{2} \Rightarrow y = \frac{9}{4} \]
発展的な解法とは?
代入法・加減法は2元連立方程式までが主な対象ですが、3元連立方程式や係数が複雑な場合には、行列やその他の代数的手法が有効です。これ以降は、そうした発展的な手法を詳しく解説します。
行列を使った解法
行列とは、数を並べた「表」のようなもので、連立方程式の係数を整理して扱えます。
例えば次の連立方程式: \[ \begin{cases} x + 2y = 3 \\ 4x + 5y = 6 \end{cases} \] は、行列で次のように書けます: \[ \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 4 & 5 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 3 \\ 6 \end{bmatrix} \]
これを 係数行列、変数ベクトル、定数ベクトル に分けて捉えることで、行列計算の応用が可能になります。
クラメルの公式
行列式(determinant)を使って連立方程式を解く公式です。2元の場合、次のように使えます。
係数行列: \[ A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix} \quad\text{定数ベクトル:}\quad \mathbf{b} = \begin{bmatrix} e \\ f \end{bmatrix} \]
クラメルの公式: \[ x = \frac{ \begin{vmatrix} e & b \\ f & d \end{vmatrix} }{ \begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix} }, \quad y = \frac{ \begin{vmatrix} a & e \\ c & f \end{vmatrix} }{ \begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix} } \]
この公式は3元、4元でも応用可能ですが、計算量が多くなるため注意が必要です。
ガウスの消去法
連立方程式を行基本変形により階段状に整理し、変数を順に求める方法です。以下は例です。
例題:
\[ \begin{cases} x + y + z = 6 \\ 2x + 3y + z = 14 \\ x + 2y + 3z = 14 \end{cases} \]
拡大係数行列にして行操作を行います: \[ \left[ \begin{array}{ccc|c} 1 & 1 & 1 & 6 \\ 2 & 3 & 1 & 14 \\ 1 & 2 & 3 & 14 \end{array} \right] \]
この行列に対して、行の引き算を行い、上三角行列の形にします。最終的に逆代入することで、変数の値を求めます。詳細な手順はやや長いため別記事にて徹底解説予定ですが、高校数学範囲でも応用できます。
発展問題にチャレンジ
問題1:
\[ \begin{cases} 2x + 3y – z = 4 \\ – x + 4y + 2z = 1 \\ 3x – y + z = 3 \end{cases} \]
ガウスの消去法または行列の逆行列を用いて解いてみましょう。
問題2:
\[ \begin{cases} x + y + z = 3 \\ 2x + 2y + 5z = 10 \\ 4x + 6y + 8z = 20 \end{cases} \]
この問題は、解が無限に存在するか、または解なしになる可能性がある特異系です。行列のランクに着目して、解の存在や一意性を検討してみましょう。
このように、連立方程式は発展的な知識を使うことで、より深く数学の構造を理解できます。ぜひ挑戦してみてください!