高校生にもわかる!顕示選好法と表明選好法の徹底解説【経済学の基礎】

高校生にもわかる!顕示選好法と表明選好法の徹底解説【経済学の基礎】

顕示選好法とは?

顕示選好法(けんじせんこうほう)は、経済学で使われる「人が実際にどんな選択をしたか」を観察して、その人の好みや価値判断(選好)を理解しようとする方法です。ここでいう「選好」とは、「どちらをより好むか」という意味です。

例えば、あなたがジュースを買うとき、オレンジジュースとリンゴジュースのどちらかを選びますよね。この実際の行動を観察して、「あなたはオレンジジュースの方が好きなんだな」と判断するのが顕示選好法です。

経済学では、顕示選好法を使って消費者の行動を理解し、どの商品がどれだけ好まれているかを分析します。つまり「行動そのもの」がデータになるのがポイントです。

顕示選好法は経済学の基礎理論の一つで、需要曲線の形を推定するのに役立ちます。具体的には、複数の商品を異なる価格で販売し、そのときの購入量の変化から選好を読み取ります。

表明選好法とは?

表明選好法(ひょうめいせんこうほう)は、アンケートや調査を通じて「もしこういう状況ならどちらを選びますか?」と人に直接尋ねて、その回答から選好を推定する方法です。

これは実際の行動ではなく、質問に対する「表明された」好みを利用します。例えば、「オレンジジュースが100円、リンゴジュースが120円ならどちらを買いますか?」と質問し、その答えから選好を推測します。

表明選好法は、実際の市場で取引されていない商品やサービス(例えば新製品や公共サービス)の需要を予測したいときに使われます。

メリットとしては、実際の購入データがなくても消費者の好みを把握できる点ですが、一方で「言葉だけの回答」が行動と異なる可能性があることが課題です。

顕示選好法の具体例とメリット・デメリット

具体例

あるスーパーでリンゴとバナナを売っているとします。リンゴは1個100円、バナナは1本80円です。あなたが毎週どちらを買うかを記録すると、あなたがバナナを多く買うなら「バナナの方が好み」と判断できます。

このように、実際の購買行動から選好を見出すのが顕示選好法の基本です。

メリット

  • 実際の行動データなので信頼性が高い
  • 行動の結果から需要のパターンを推定できる

デメリット

  • 新商品や未発売の商品については使いにくい
  • 外部要因(価格以外の影響)を完全にコントロールしづらい

表明選好法の具体例とメリット・デメリット

具体例

ある自治体が新しい公共交通サービスを考えています。まだサービスがないので実際の利用データはありません。そこで住民に「新しいバス路線が1回200円だったら利用しますか?」と質問し、その回答から利用の可能性を推定します。

このように、アンケートなどで意図的に設定した選択肢に対する回答から選好を推定するのが表明選好法です。

メリット

  • まだ市場にない商品やサービスの需要予測ができる
  • 様々な条件を仮定して調査できる

デメリット

  • 実際の行動と異なる回答をされることがある(仮想の質問なので)
  • 回答者の意図や気分に左右されやすい

顕示選好法と表明選好法の違いと使い分け

顕示選好法と表明選好法は、どちらも「選好(好み)」を知るための方法ですが、主な違いはデータの取得方法にあります。

項目顕示選好法表明選好法
データの種類 実際の行動(購入など) アンケートや調査の回答
対象 既に市場に存在する商品やサービス 新商品や市場にないサービス
信頼性 高い(実際の行動) 低い場合がある(仮想回答)
利用シーン 消費者行動の分析、価格設定 需要予測、新サービスの導入検討

どちらの方法も補完的に使われることが多く、状況に応じて使い分けが重要です。

また、経済学ではこの両者の結果を比較し、行動と表明の差異(例えば「虚偽回答」や「態度行動ギャップ」)を分析することもあります。

まとめ

顕示選好法は「実際の行動から選好を推定する方法」、表明選好法は「質問で答えられた好みから選好を推定する方法」です。どちらも経済学で非常に重要な役割を果たしています。

高校生の皆さんにとっては、日常生活の中で「どちらを選ぶか」という小さな選択を意識してみると、選好や経済学の考え方に親しみやすくなるでしょう。

たとえば、次のような数学的な表現も使われます。
選択肢 \(A\) と \(B\) があって、もし人が \(A\) を選んだら
\[ A \succ B \] と書き、「\(A\) の方が \(B\) より好ましい」という意味になります。

このように、顕示選好法はこの関係を実際の行動で確認し、表明選好法はアンケートなどでその関係を聞き取る方法なのです。

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