【高校生にもわかる】限界生産力の逓減とは？経済学の基本を徹底解説！
目次
1. 限界生産力ってなに？
経済学では「生産」を考えるときに、使う資源（労働や資本）を増やすと、どれだけ生産量が増えるかを知りたい場面があります。
このとき、「1単位だけ労働を増やしたときに、生産量がどれだけ増えるか」を示すのが限界生産力（Marginal Product）です。
たとえば、ある工場で働いている人を1人増やしたら、1時間あたりの生産量が10個増えたとしましょう。この「10個」がそのときの労働の限界生産力です。
2. 限界生産力の逓減とは？
限界生産力の逓減とは、「追加で投入する労働や資本の効果（限界生産力）が次第に小さくなっていく現象」のことです。
つまり、最初の1人目の労働者は10個も生産量を増やしてくれたのに、2人目、3人目と増やしていくと、だんだん増加分が小さくなってしまうのです。
これは「限界生産力逓減の法則（Law of Diminishing Marginal Returns）」と呼ばれ、経済学の基本的な原則の一つです。
3. 数式で理解しよう
限界生産力を数式で表すと、次のようになります。
労働 \( L \)、生産量 \( Q \) とすると、労働の限界生産力 \( MP_L \) は次のように表せます：
$$ MP_L = \frac{dQ}{dL} $$
つまり、「労働を少し増やしたときに、生産量がどれだけ増えるか」という微分の式ですね。
そして、「限界生産力が逓減する」というのは、次のように表せます：
$$ \frac{d^2 Q}{dL^2} < 0 $$
これは「労働を増やしていくと、その効果（限界生産力）は小さくなっていく」という意味です。
4. 限界生産力の逓減が起こる理由
限界生産力が逓減するのには、以下のような理由があります。
- 設備が限られているから：例えば、パソコンが1台しかないのに、2人3人と社員が増えると、交代で使う必要が出てきて効率が落ちます。
- 混雑効果：作業スペースが限られている場合、人数が増えすぎると、かえって邪魔になってしまうことがあります。
- 役割分担の限界：最初の労働者は重要な仕事を任されるかもしれませんが、後から来た労働者は補助的な仕事しかできず、生産への貢献が小さくなることがあります。
5. 具体例でイメージを深めよう
あるピザ屋さんを例に考えてみましょう。
| 労働者数 | 総生産量（ピザ） | 限界生産力（MP） |
|---|---|---|
| 1人 | 10枚 | 10 |
| 2人 | 18枚 | 8 |
| 3人 | 24枚 | 6 |
| 4人 | 28枚 | 4 |
| 5人 | 30枚 | 2 |
このように、労働者を増やすたびに限界生産力が小さくなっているのがわかります。これが「限界生産力の逓減」です。
6. 経済全体での応用と重要性
限界生産力の逓減は、個別の企業だけでなく、国全体の経済にも大きな影響を与えます。たとえば：
- 労働市場では、労働者を増やしても賃金が一定以上には上がりにくい理由として説明されます。
- 経済成長モデルでは、資本や労働を増やすだけでは、いつか成長が鈍化することの根拠になります。
- 資源の効率的な配分を考えるときの基礎になります。
このように、「限界生産力の逓減」は経済学を学ぶ上で欠かせない、大切な考え方です。
この記事は、高校生にも経済学の基礎を理解してもらうことを目的とした解説記事です。