ゼロからわかる!効用関数から需要関数を導く方法
目次
効用関数とは?
効用関数とは、消費者が商品をどれくらい「好んでいるか」「満足するか」を数値で表す関数です。
例えば、2つの商品 \(x\)(リンゴ)と \(y\)(バナナ)があるとき、効用関数が
$$ U(x, y) = x \cdot y $$
と定義されていれば、リンゴとバナナを1つずつ消費すると効用は \(1\)、2つずつ消費すると効用は \(4\) になります。
予算制約とは?
消費者には限られたお金(所得)しかありません。これが「予算制約」です。
たとえば、所得が \(I\)、リンゴの価格が \(p_x\)、バナナの価格が \(p_y\) のとき、予算制約式は以下のようになります。
$$ p_x x + p_y y \leq I $$
消費者はこの制約の中で、できるだけ効用が大きくなるように商品を選びます。
需要関数の導出ステップ
需要関数とは、商品の価格や所得を与えられたとき、どれだけの量を消費するかを示す関数です。
効用関数と予算制約から、次のようなステップで導きます:
- 効用関数を最大化したい
- ただし予算制約を満たさないといけない
- 最適化のために「ラグランジュ乗数法」を使う
- 解いた結果として、最適な消費量 \(x^*\) や \(y^*\) を価格と所得の関数として得る
具体例:2財モデルで導いてみよう
以下の条件で、需要関数を導いてみましょう。
- 効用関数: \(U(x, y) = x \cdot y\)
- 価格: \(p_x = 2\), \(p_y = 1\)
- 所得: \(I = 100\)
ラグランジュ関数を以下のように定義します:
$$ \mathcal{L} = x y + \lambda (100 – 2x – y) $$
これを \(x, y, \lambda\) について偏微分して、ゼロに等しくします。
\[ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial x} = y – 2\lambda = 0 \\ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial y} = x – \lambda = 0 \\ \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \lambda} = 100 – 2x – y = 0 \]
この方程式系を解くと、次のように得られます:
\[ x = \frac{100}{3}, \quad y = \frac{100}{3} \]
このように、与えられた価格と所得のもとで最適な消費量が決まりました。これを一般的な価格と所得の式にすると、需要関数になります。
ラグランジュ法の使い方
ラグランジュ乗数法とは、「制約条件付きの最適化問題」を解くためのテクニックです。
以下のような最適化問題を考えます。
- 目的関数:最大化したい関数 \(f(x, y)\)
- 制約条件: \(g(x, y) = 0\)
このとき、ラグランジュ関数は以下のようになります:
$$ \mathcal{L}(x, y, \lambda) = f(x, y) + \lambda (g(x, y)) $$
この関数を各変数について偏微分し、ゼロに等しくして連立方程式を解くことで、最適解が得られます。
まとめ
- 効用関数は「満足度」を表す関数
- 予算制約は「限られたお金で買える量の関係」
- ラグランジュ法を使って、制約付きの最適化を行う
- 最適解を変数(価格や所得)の関数として表せば、それが需要関数になる
この流れを理解すれば、ミクロ経済学の基礎である「需要の決定メカニズム」がよくわかります。高校生でも、ステップを踏んで考えれば十分に理解できます!