一目でわかる!有界数列(点列)の意味と特徴を徹底解説
目次
有界数列(点列)とは?
数列 \( \{a_n\} \) が有界であるとは、すべての項がある固定された範囲の中に収まっていることを意味します。 つまり、ある実数 \( M > 0 \) が存在して、
\( |a_n| \leq M \)(すべての \( n \) に対して)
を満たすとき、この数列は有界であると言います。このときの \( M \) を有界性を与える定数と呼びます。
上に有界・下に有界とは?
有界性は「上に有界」「下に有界」に分類できます。
上に有界な数列
数列 \( \{a_n\} \) が上に有界であるとは、ある実数 \( U \) が存在して、すべての \( n \) に対して
\( a_n \leq U \)
を満たすことです。このような \( U \) を上界と呼びます。
下に有界な数列
同様に、数列 \( \{a_n\} \) が下に有界であるとは、ある実数 \( L \) が存在して、すべての \( n \) に対して
\( a_n \geq L \)
を満たすことです。このような \( L \) を下界と呼びます。
両方に有界な場合
上界と下界の両方が存在する場合、すなわちある定数 \( L, U \) が存在して
\( L \leq a_n \leq U \)
を満たすとき、この数列は有界数列
有界数列の具体例
例1:交互に振動する数列
数列 \( a_n = (-1)^n \) は、
\( a_1 = -1, a_2 = 1, a_3 = -1, a_4 = 1, \dots \)
のように、-1 と 1 を交互にとるため、常に -1 以上 1 以下です。この数列は有界です(上界 1、下界 -1)。
例2:収束する数列
数列 \( a_n = \frac{1}{n} \) は、
\( a_1 = 1, a_2 = \frac{1}{2}, a_3 = \frac{1}{3}, \dots \)
と \( 0 \) に近づいていきますが、すべての項が \( 0 < a_n \leq 1 \) を満たしているため、有界です。
例3:定数列
数列 \( a_n = 5 \) はすべての項が 5 なので、もちろん有界です。
有界でない数列の例
例1:発散する数列
数列 \( a_n = n \) は、
\( a_1 = 1, a_2 = 2, a_3 = 3, \dots \)
と無限に増加していきます。どんな定数 \( M \) をとっても、いずれ \( a_n > M \) となるため、この数列は有界ではありません(上に有界でない)。
例2:符号を変えながら発散する数列
数列 \( a_n = (-1)^n n \) は、
\( a_1 = -1, a_2 = 2, a_3 = -3, a_4 = 4, \dots \)
と絶対値が無限大に発散しながら符号を交互に変えるため、有界ではありません。
収束との関係
数列の収束と有界性の関係には重要な定理があります。
定理:収束数列は必ず有界である
数列 \( \{a_n\} \) がある実数 \( a \) に収束するならば、この数列は有界です。直感的にも、収束するとは「ある値に近づく」ということなので、値がどこまでも大きくなることはありません。
逆は成り立たない
しかし、有界だからといって必ずしも収束するわけではありません。例えば先ほどの \( a_n = (-1)^n \) は有界ですが収束しません。
まとめ
- 有界数列とは、項がある範囲に収まる数列。
- 上界・下界を持つ数列は有界である。
- 収束する数列は必ず有界。
- 有界でも収束しない数列は存在する。
- 発散する数列は基本的に有界ではない。
数学において「有界性」は、数列や関数の挙動を理解するうえで非常に重要な性質です。理解を深めることで、収束性や解析学の基本概念への理解が一層高まるでしょう。