ベクトル空間と部分ベクトル空間を完全理解!定義・性質・具体例をわかりやすく解説
- 零ベクトルは一意に存在します。
- 各ベクトルの加法逆元(マイナスベクトル)も一意です。
- \\( 0 \cdot \mathbf{v} = \mathbf{0} \\)、\\( a \cdot \mathbf{0} = \mathbf{0} \\)
- \\( (-1) \cdot \mathbf{v} = -\mathbf{v} \\)
ベクトル空間の具体例
例1:\\( \mathbb{R}^n \\)
実数体 \\( \mathbb{R} \\) 上の \\( n \\) 次元ベクトル空間。要素は \\( (x_1, x_2, ..., x_n) \\) の形。
例2:多項式空間 \\( \mathbb{R}[x] \\)
係数が実数の多項式全体の集合はベクトル空間になります。
例3:行列全体の集合
\\( m \times n \\) 行列全体の集合は、行列の加法とスカラー倍によりベクトル空間をなします。
部分ベクトル空間の定義
ベクトル空間 \\( V \\) の部分集合 \\( W \\subset V \\) が部分ベクトル空間(subspace)であるとは、\\( W \\) 自身もベクトル空間の公理を満たすときに言います。ただし、演算は \\( V \\) におけるものを使います。
部分ベクトル空間の判定条件
\\( W \subset V \\) が部分ベクトル空間であるための必要十分条件は、次の3つです:
- \\( \mathbf{0} \in W \\)
- \\( \mathbf{u}, \mathbf{v} \in W \\) ならば \\( \mathbf{u} + \mathbf{v} \in W \\)
- 任意の \\( a \in \mathbb{F} \\) に対し、\\( a\mathbf{v} \in W \\)
部分ベクトル空間の具体例
例1:\\( \mathbb{R}^3 \\) における平面
\\( \mathbb{R}^3 \\) の原点を通る平面(例:\\( x + y + z = 0 \\) の解集合)は部分空間です。
例2:多項式空間の次数制限付き部分集合
\\( \mathbb{R}[x] \\) のうち、次数が2以下の多項式全体は部分ベクトル空間です。
例3:行列空間の対角行列
\\( 3 \times 3 \\) 行列空間のうち、対角行列全体の集合も部分空間です。
基底と次元
ベクトル空間の「基底(basis)」とは、その空間を生成する線形独立なベクトル集合のことです。「次元(dimension)」とは、基底の要素数です。
例1:\\( \mathbb{R}^3 \\) の標準基底
\\( \mathbb{R}^3 \\) の基底は \\( \{ (1,0,0), (0,1,0), (0,0,1) \} \\)。次元は3。
例2:多項式空間 \\( \mathbb{R}_2[x] \\)
\\( \mathbb{R}_2[x] = \{ a + bx + cx^2 \mid a,b,c \in \mathbb{R} \} \\) の基底は \\( \{ 1, x, x^2 \} \\)。次元は3。
まとめ
- ベクトル空間は加法とスカラー倍が定義され、8つの公理を満たす集合。
- 部分ベクトル空間は親空間の演算でベクトル空間の性質を保つ部分集合。
- 部分空間かどうかは、零ベクトルを含み、加法とスカラー倍が閉じているかで判断可能。
- 基底と次元の概念により、空間の大きさや構造が定量的に把握できる。
線形代数を学ぶ上で、ベクトル空間と部分ベクトル空間の理解は非常に重要です。定義と例をしっかり押さえておくことで、今後の学習がスムーズになります。