線形写像の像(Im)と核(Ker)の徹底解説
\( \text{Im}(f) = \{ f(\mathbf{v}) \mid \mathbf{v} \in V \} \subseteq W \end{p}
像は、線形写像の出力空間における「到達可能な範囲」を表しています。具体的な性質としては、次のようなものがあります:
- 像は、常に \( W \) の部分空間です。
- 像の次元は、線形写像のランク(Rank)と呼ばれます。
また、線形写像が単射(1対1対応)である場合、その像は \( V \) と同じ次元を持ちます。
核(Ker)の定義と性質
線形写像の核(Ker)は、線形写像が「消えてしまう」ベクトルの集合です。すなわち、\( f: V \to W \) の核は、次のように定義されます:
\( \text{Ker}(f) = \{ \mathbf{v} \in V \mid f(\mathbf{v}) = \mathbf{0}_W \} \)
核は、線形写像がゼロに写すベクトルを集めたものです。核の性質は次の通りです:
- 核は、常に \( V \) の部分空間です。
- 核の次元は、線形写像の零度数(Nullity)と呼ばれます。
- もし核がゼロベクトルだけを含む場合、線形写像は単射です。
像と核の関係
線形写像の像と核は、次のように密接に関係しています:
- ランク・零度数定理(Rank-Nullity Theorem): 線形写像 \( f: V \to W \) に対して、次の式が成り立ちます:
- ランクは、線形写像の像の次元、零度数は核の次元です。
\( \dim(V) = \dim(\text{Im}(f)) + \dim(\text{Ker}(f))
具体例
線形写像 \( f: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2 \) を次のように定義します:
\( f(x, y) = (x + y, 2x - y)
この線形写像の像と核を求めてみましょう。まず、像を求めるために、任意のベクトル \( (a, b) \in \mathbb{R}^2 \) が \( f(x, y) = (a, b) \) を満たす \( (x, y) \) を見つける必要があります。連立方程式を解くと、像の次元が 2 であることがわかります。
まとめ
線形写像の像(Im)と核(Ker)は、線形代数における重要な概念です。像は線形写像の出力空間の範囲を示し、核はゼロに写るベクトルの集合です。これらの概念を理解することで、線形写像の性質を深く理解することができます。ランク・零度数定理を通じて、像と核の次元の関係も明確になりました。