Chat GPTで作る数学の教科書 背理法
背理法について
背理法とは、ある命題を証明するために、その命題が成立しないと仮定して、その仮定が導く矛盾を利用して、元の命題が成立することを示す方法です。
背理法は、直接証明が難しい命題や、逆に証明する命題の場合に使われます。背理法では、以下の手順で証明を行います。
- 仮定を設定する。ある命題を証明するために、その命題が成立しないと仮定します。
- 矛盾を導く。仮定から導かれる結論が、既知の真実と矛盾することを示します。
- 元の命題が成立することを示す。仮定が矛盾することから、元の命題が成立することが示されます。
以下に、背理法を用いた例を示します。例えば、次のような命題を考えます。
「整数nが奇数ならば、n2も奇数である。」
これを背理法で証明する場合、以下のように行います。
- 「整数nが奇数であり、n2が偶数である」と仮定する。
- nが奇数であるため、n = 2k + 1と表すことができる。
- n2 = (2k + 1)2 = 4k2 + 4k + 1 = 2(2k2 + 2k) + 1となり、n2も奇数であることが示される。
- 仮定により、n2は偶数であると仮定していたため、矛盾が導かれる。
- よって、元の命題「整数nが奇数ならば、n2も奇数である」と成立することが示される。
以上が、背理法の基本的な考え方と手順です。背理法を用いることで、命題の証明が可能になる場合があります。
背理法を用いて、\(\sqrt{3}\) が有理数である場合に矛盾が導かれることを示します。
つまり、\(\sqrt{3}\) が有理数であると仮定し、その仮定から導かれる矛盾を示します。
- 仮定:\(\sqrt{3}\) は有理数であると仮定する。
- 有理数とは、分数で表すことができる数のことです。\(\sqrt{3}\) を分数で表すと仮定すると、\(\sqrt{3} = \frac{a}{b}\) となるような整数 \(a\) と \(b\) が存在します。
- このとき、\(a\) と \(b\) は互いに素ではないと仮定します。つまり、\(a\) と \(b\) に共通する素因数 \(p\) が存在するとします。
- \(\sqrt{3} = \frac{a}{b}\) を両辺2乗すると、\(3 = \frac{a^2}{b^2}\) となります。
- 両辺に \(b^2\) を掛けると、\(3b^2 = a^2\) となります。
- \(a\) と \(b\) に共通する素因数 \(p\) が存在するため、\(a\) と \(b\) を \(p\) で割った余りをそれぞれ \(a’\) と \(b’\) とします。
- \(a = pa’, b = pb’\) と表せるので、\(a^2 = p^2a’^2, b^2 = p^2b’^2\) となります。
- 先ほどの式に代入すると、\(3p^2b’^2 = p^2a’^2\) となります。
- 両辺を \(p^2\) で割ると、\(3b’^2 = a’^2\) となります。
- このとき、\(a’\) と \(b’\) にも共通する素因数 \(p\) が存在するため、仮定に矛盾します。
- よって、\(\sqrt{3}\) は有理数ではなく、無理数であることが示されました。