目次

• インスタンス生成とは
• スタックでのインスタンス生成
• ヒープでのインスタンス生成
• コンストラクタを用いたインスタンス生成
• コピーコンストラクタを使ったインスタンス生成
• ムーブコンストラクタを使ったインスタンス生成
• ファクトリ関数によるインスタンス生成
• スマートポインタによるインスタンス管理
• placement newによるインスタンス生成

インスタンス生成とは

C++における「インスタンス生成」とは、クラスや構造体のオブジェクト（インスタンス）を作成することを指します。C++では、オブジェクトを生成する方法として、スタックに作成する方法と、ヒープに作成する方法の2つがあります。

スタックでのインスタンス生成

スタックでのインスタンス生成は、関数のスコープ内で変数としてオブジェクトを作成する方法です。スコープを抜けると自動的に破棄されます。

class Sample {
public:
    Sample() { std::cout << "Sampleのコンストラクタ" << std::endl; }
    ~Sample() { std::cout << "Sampleのデストラクタ" << std::endl; }
};

void func() {
    Sample obj; // スタック上にオブジェクトを作成
} // スコープを抜けると自動的にデストラクタが呼ばれる

ヒープでのインスタンス生成

ヒープ上にオブジェクトを作成するには new 演算子を使用します。ヒープに確保されたメモリは明示的に解放する必要があります。

void func() {
    Sample* obj = new Sample(); // ヒープ上にオブジェクトを作成
    delete obj; // 明示的に解放しないとメモリリークの原因になる
}

コンストラクタを用いたインスタンス生成

コンストラクタは、オブジェクトが作成される際に自動的に呼ばれる関数です。

class Sample {
public:
    int x;
    Sample(int val) : x(val) {
        std::cout << "値 " << x << " で初期化" << std::endl;
    }
};

void func() {
    Sample obj1(10);
    Sample* obj2 = new Sample(20);
    delete obj2;
}

コピーコンストラクタを使ったインスタンス生成

コピーコンストラクタを用いると、既存のオブジェクトを元に新しいオブジェクトを作成できます。

class Sample {
public:
    int x;
    Sample(int val) : x(val) {}
    Sample(const Sample& other) : x(other.x) {
        std::cout << "コピーコンストラクタ" << std::endl;
    }
};

void func() {
    Sample obj1(10);
    Sample obj2 = obj1; // コピーコンストラクタが呼ばれる
}

ムーブコンストラクタを使ったインスタンス生成

ムーブコンストラクタを用いると、一時オブジェクトを効率的に新しいオブジェクトに移動できます。

class Sample {
public:
    int* x;
    Sample(int val) : x(new int(val)) {}
    Sample(Sample&& other) noexcept : x(other.x) {
        other.x = nullptr;
        std::cout << "ムーブコンストラクタ" << std::endl;
    }
    ~Sample() { delete x; }
};

void func() {
    Sample obj1(10);
    Sample obj2 = std::move(obj1); // ムーブコンストラクタが呼ばれる
}

ファクトリ関数によるインスタンス生成

ファクトリ関数を使うことで、オブジェクトの生成処理を一元化できます。

std::unique_ptr createSample(int val) {
    return std::make_unique(val);
}

void func() {
    auto obj = createSample(10);
}

スマートポインタによるインスタンス管理

std::unique_ptr や std::shared_ptr を使うと、メモリ管理が簡単になります。

void func() {
    std::unique_ptr obj1 = std::make_unique(10);
    std::shared_ptr obj2 = std::make_shared(20);
}

placement newによるインスタンス生成

特定のメモリ領域にオブジェクトを配置するには placement new を使用します。

void func() {
    char buffer[sizeof(Sample)];
    Sample* obj = new(buffer) Sample(10);
    obj->~Sample();
}