目次

• stdalign.hとは？
• alignasの使い方
• alignofの使い方
• アラインメントの影響
• 実践的な使用例
• アラインメントに関する注意点

stdalign.hとは？

`stdalign.h` は、C11で追加されたヘッダファイルで、メモリアライメント（アライメント）を制御するためのマクロとキーワードを提供します。主に以下の2つの機能があります：

• alignas：変数や構造体のアライメントを指定する。
• alignof：型のデフォルトアライメントを取得する。

これにより、メモリの適切な配置を指定でき、キャッシュ効率の向上やハードウェア要件を満たすための調整が可能になります。

alignasの使い方

alignas は変数や構造体に対して、指定したアライメントに調整するために使います。

基本的な使い方

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>

int main() {
    alignas(16) int x;  // x は16バイト境界に配置される
    printf("xのアライメント: %zu\n", alignof(x));
    return 0;
}

構造体のアライメント調整

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>

struct alignas(32) AlignedStruct {
    int a;
    double b;
};

int main() {
    struct AlignedStruct s;
    printf("AlignedStructのアライメント: %zu\n", alignof(s));
    return 0;
}

`alignas(32)` を指定することで、`AlignedStruct` は 32 バイト境界に配置されます。

alignofの使い方

alignof を使うと、ある型が持つデフォルトのアライメントを取得できます。

基本的な使い方

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>

int main() {
    printf("int のアライメント: %zu\n", alignof(int));
    printf("double のアライメント: %zu\n", alignof(double));
    return 0;
}

アラインメントの影響

メモリアライメントを適切に設定することで、以下のようなメリットがあります：

• CPUキャッシュの効率向上
• SIMD命令の最適化
• 特定のハードウェア要件への適合

キャッシュ効率の向上

メモリが適切にアラインされていないと、キャッシュミスが増え、性能が低下することがあります。

SIMD命令の最適化

例えば、128ビットのSIMDレジスタを使う場合、変数が16バイト境界に揃っていないとパフォーマンスが低下する可能性があります。

実践的な使用例

メモリバッファのアライメント

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>
#include <stdlib.h>

int main() {
    void *ptr;
    if (posix_memalign(&ptr, 64, 1024) == 0) {
        printf("64バイトアラインされたメモリを確保: %p\n", ptr);
        free(ptr);
    }
    return 0;
}

`posix_memalign` を使うことで、確保するメモリのアライメントを明示的に指定できます。

SIMD向けのデータ構造

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>

struct alignas(16) SIMDVector {
    float values[4];
};

int main() {
    struct SIMDVector vec;
    printf("SIMDVectorのアライメント: %zu\n", alignof(vec));
    return 0;
}

16バイト境界に配置することで、SIMD命令の効率を最大化できます。

アラインメントに関する注意点

• 過剰なアライメント指定はメモリ使用効率を下げる可能性がある。
• アライメントを考慮せずに `memcpy` すると意図しない振る舞いをすることがある。
• 古いC99以前の環境では `stdalign.h` が使えない。

アライメント違反の例

#include <stdio.h>
#include <stdalign.h>

struct alignas(32) AlignedData {
    int a;
    double b;
};

int main() {
    struct AlignedData data;
    int *ptr = (int*)&data;
    ptr++;  // 不適切なアクセス
    printf("%d\n", *ptr);
    return 0;
}

`ptr` の操作によって、メモリ配置が壊れる可能性があるので注意が必要です。